昼間はよい天気・・・
なのに夜になると毎日曇りか雨・・・(怒)
さて、「超々入門・・」の続きです。
前々回は望遠鏡で倍率を上げすぎると像が暗くなるというお話をしました。
また、前回は倍率を上げすぎると「像がぼける」というお話をしました。
いずれも口径(mm)の2倍くらいの倍率が限界の倍率ということになりました。
「これ以上の倍率を出しても意味がないですよ」とほとんどの入門書には書いて
あります。
でも本当にそうなのかどうか、個人的にはとても疑問に思っています。
また、どんな口径でも一律に「口径(mm)の2倍」というのが上限になるのか
というのも疑問を感じています。
まず、人間の眼の分解能についてなのですが、視力で測定される分解能とは
別に、白い背景に黒い線が入っている場合などは、その10分の1くらいの
太さでも存在を確認することができます。
またこの黒い線に波うちがある場合、分解能の3分の1程度でも感知することが
できるといわれています。
遠くにある送電線が見えたり、白い紙の上にある髪の毛が見えるのもこのため
です。
土星の輪にある「カッシーニの空隙(くうげき)」という隙間は角度で表すと1″に
満たないのですが、熟練した人が出来のよい望遠鏡で見ると50~60mmの
口径でも(分解能は2.3″~1.9″なのに)見ることができます。
また口径100mmくらいまでの望遠鏡の場合、出来の良いものは口径(mm)の
3倍以上の倍率を出しても、それほど像がぼけた感じがせずに見えることが
よくあります。
出来のよい望遠鏡では、見る対象やその日のコンディションによって、
「口径(mm)の2倍」にこだわらないで倍率を選んで良いのではないかと思います。
古い話で恐縮ですが、1971年の火星大接近(私がこの趣味にはまることに
なった直接的現象ですが)のとき、50mmの屈折望遠鏡に214倍という
(f:750mm+Or7mm+バーローレンズ)倍率で連日スケッチを採っていました。
火星の輝度がとても明るいということもあるのですが、バーローレンズを使った
ほうがよく見えた気がした記憶があります。
いっぽうスタパの40cmですが、これまで最高のコンディションのときでも
670倍までしか出したことがありません。
これ以上出しても気流による乱れのほうが大きくなって、細かいところが
見えてこないというのが正直なところです。
いろいろ調べていたら、「屈折望遠鏡光学」(吉田正太郎著)に次のような
記述がありました。
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重星用過剰倍率
有効倍率より大きい倍率は過剰倍率といいます。過剰倍率を使っても、別に
目標物の新しい細部(ディテイル)が見えてくるわけではありませんが、有効
倍率で見落としていたものを発見したり、明るさが充分なときには観測を
快適にすることもあります。
レウィスは二重星を観測する場合に、大気のゆらぎを考えに入れると、口径
80mm以上の望遠鏡では、つぎの式で計算される倍率が適当であるといって
います。
m = 28・√(φ)
たとえば口径10cmで280倍、口径20cmなら396倍、30cmで485倍、40cmで
560倍です。口径が784mmを越えると、有効倍率のほうが過剰倍率より大きく
なりますね。
世界最大のヤーキス天文台の40インチ(1016mm)屈折望遠鏡では2400倍までの
接眼鏡を用意していますが、その観測報告によると、700倍内外が一番良く使わ
れています。
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以上引用
というわけで「口径(mm)の2倍」という倍率にこだわらず、一番よく見える倍率を
臨機応変に使いこなすというのが正しい使い方なのでは・・・というのが
今日の結論です。
(続く・・・)