昼間晴れて夜曇るとか夕立になるとか、夏にありがちな悪いパターンの天候になっています。
さて今日も「星座望遠鏡」レポートの続きです。
昨日は製品の仕様を理解したうえでないとガッカリすることがあるかもしれないという話をしたのですが、この傾向はこの「星座望遠鏡」特有の問題ではなく、低倍率のガリレオ式望遠鏡(双眼鏡)に共通の話なので、特にこの星座望遠鏡が劣っているわけではありません。
否、むしろ一昨日紹介したいくつかの類似製品の中では優れた性能を示すと言えます。
このタイプの製品のカタログスペックでまず気になるのが実視界(どのくらいの範囲が一度に見えるかの角度)の広さです。
笠井のワイドビノ(正式にはWideBino28)はその名が示すとおり28°の実視界を誇ります。
ビクセンのSG2.1×42はカタログでは12°ととても控えめな数字が書いてあるのですが、眼を接眼レンズにこすりつけるようにして見ると28°くらいの範囲をみることができ、ワイドビノと同程度の実視界があるようです。
どちらも眼をレンズにこすりつけるくらいにして28°の実視界が得られるようになっているようです。
しかもいずれの製品も眼鏡着用での使用を想定していないようで、アイレリーフを15mmも確保(眼鏡着用)すると視界は半分以下になってしまい、低倍率・広視界のメリットがほとんど無くなってしまいます。(目を近づけないと広い範囲が見えないのはガリレオ式光学系の宿命でもあるのですが・・・・)
次に星座望遠鏡ですが、カタログスペックの実視界は24°とかなり控えめですが、アイレリーフ15mmでの設計値です。
でも眼鏡無しで接眼レンズに目を近づけてみると、ほぼ30°くらいの範囲を見ることができます。
実際に私が眼鏡着用と眼鏡無しで見たときの見える範囲を観察した比較を下に示します。
上はアストロアーツ社のプラネタリウムソフト「ステラナビゲーター」で表示させたはくちょう座付近です。
これに眼鏡の有無で見えた範囲を示しています。
眼鏡着用の時はカタログスペックどおり24°の範囲が見え、はくちょう座の北十字の範囲がスッポリ見えます。
そして眼鏡を外すとはくちょう座のほぼ全域(実視界約30°の範囲)が見えています。
同様に北斗七星のあたりを見ると、
メガネを掛けた状態ではギリギリ6個までしか見えないのですが、眼鏡無しだと余裕で北斗七星全体を見ることができます。
視界の広さという面では眼鏡無しでワイドビノやSG2.1×42と同等以上、眼鏡有りでは圧倒的に星座望遠鏡が有利ということになります。
次に気になるのが像の良さです。
星は点光源なので光学系に少しでもエラーがあると点に見えず、ぼやけたり歪んで見えることになります。
特に広視界の製品の場合には視野周辺では像が悪化することが多いです。
視野周辺の像が悪いとぼやけた分、暗い星が見えなくなるので、見えている星の数が少なくて迫力の無い見え味になってしまいますので、周辺像の良いことは(カタログスペックでは分からない)たいへん重要な要素です。
結論を言ってしまうと周辺像の良さは(眼鏡無しの前提で)
星座望遠鏡 > ワイドビノ > SG2.1×42
の順になり、星座望遠鏡の光学系が優れています。
視界の広さ、良像範囲の広さから考えると、どうしても双眼タイプの両目で見られなければイヤだという場合以外は星座望遠鏡に軍配が上がるように思います。
単眼の比較機種としてテレコンレンズ単体を紹介したのですが、テレコンレンズの種類にもよりますが、(特に安価なものは)色収差が大きいものが多い、周辺像が良くない、ピント調整ができないなどの問題点が多く有りますので製品として考えれば星座望遠鏡の敵ではありません。
あくまでも人を選ぶ代用品としての域を出ないもので、望遠鏡という製品として考えたときは星座望遠鏡の完成度の高さとは比べものになりません。(続く)
こんにちは。
面白い望遠鏡が発売されたのですねぇ。全く気がつきませんでした。レポート、楽しく読みまし、続編も待っています。星座観望の他に何かに使えないかと、考えてしまいます。肉眼による新星探しや(微光)流星観測の補助、明るくなった変光星の観測、黄道光・対日照の観測でしょうか。自作フードを作って、カメラ三脚(一脚でも良いかなあ)に載せて使えれば良いでしょうか。
青色つきこさま
いつもありがとうございます。
使い道をいろいろ考えると楽しいですね。
鏡筒にネジが切ってあっていろいろ応用ができるようになっているとことがこの望遠鏡の楽しいところです。
ぜひ楽しんでくださいませ。