「双眼鏡で星空観察会」をプロモート その2

今日もうららかな一日でした。

木々の花の開花が次々に始まります。

今日も月がきれいでした。

さて今日も「双眼鏡で星空観察会」をプロモート シリーズです。

3.双眼鏡で星を見る文化の振興を阻害する様々な思い違いを把握する

少し長いサブタイトルですが・・・

双眼鏡で星空を眺めると「楽しい」とか「きれい」とか「もの凄くたくさん星が見える」といったことを多くの方が知っていたり、知らなくても容易に想像が出来るのではないかと思います。

でも、どうもその割には双眼鏡で星空を楽しむという文化が育っていないように思うのです。

例えば「望遠鏡で星を見る」とか「デジカメで星を写す」という文化はある程度確立されていて、その証拠にそのための講習会とか参考書はたくさん見つけることが出来ます。

昔から双眼鏡は星空観察の入門用に最適と言われるわりには、それを実現させるための文化が育っていないように思うのです。

なぜそうなってしまったのかを考察することは「双眼鏡で星空観察会」をプロモートして行く上で充分に理解しておくことが重要で、双眼鏡での星見文化を振興させる鍵になると思います。

結論を先に言ってしまうと元も子もないのですが、私のこれまでの経験や考察では、日本人特有の真面目な性格といろいろな方面からの思い違いの集積が現状を形作っていると考えています。

以下にこの「思い違い」のいくつかを紹介したいと思います。

3-1.「双眼鏡は簡単だから初心者向け」という思い違い

この思い違いは私が子供の頃(約半世紀前)にはすでに通説になっていて、私が初めて望遠鏡を買おうとしたときにも望遠鏡より先に双眼鏡を買ったほうがよいとまことしやかに勧められたものです。

理由は取り扱いが簡単で、初心者でも直感的に使いこなせ、手軽に持ち歩く事ができ、将来的に望遠鏡を購入しても補助的に活用ができるからというのが模範解答になろうと思います。

でも望遠鏡の購入を考えてる人の目的のほとんどは、まず月のクレーターや土星の輪が見たいので、上の言葉にだまされて双眼鏡を購入してしまった人はとても物足りない気持ちになります。

双眼鏡でどんな天体を見たらよいのかと思って、参考書を探すと望遠鏡で見たほうが面白そうな天体がたくさん紹介されていて、どうしても望遠鏡が欲しくなるようなもの(参考書)ばかりが目立ちます。(双眼鏡向けという参考書でも「双眼鏡だと存在が判り、望遠鏡を使うとハッキリ見える」というような天体がたくさん紹介されているのでどうしても望遠鏡が必要と思い込んでしまうように誘導されます。)

実は双眼鏡でなければ楽しめない天体や星、星の並びなどはかなりたくさんあるのですが、日本人の真面目さが災いしてか、どうしても学術的に意味のある星雲・星団や(滅多に起きない)天文現象を見る方向に誘導されがちです。(この場合、良く見えるか?、楽しいか?は別問題のようなのです。)

前章でも紹介したように双眼鏡を使いこなすには多少のコツが必要なのでこれをマスターしなければいけないのですが、双眼鏡向け参考書でもこれをしっかり解説していないものも散見されます。

初心者向けといいつつ、ノウハウもコンテンツも全く充実しておらず、楽しむことよりも修行のような環境に初心者を誘導するのは大きな思い違いといわざるを得ません。

3-2.「双眼鏡より望遠鏡のほうが格上」という思い違い

前節でも述べたように望遠鏡では双眼鏡で見えなかったものが見えてきます。

上で述べた修行のような環境に耐えて星を見る趣味を続けた天文ファンの中には、望遠鏡を駆使して見る天体は素晴らしく、双眼鏡はサブ的な機材という思い込みが染みついてしまう人が多いです。

私の知り合いにはたくさんの天文マニアがいて、皆さんかなり高級な双眼鏡をお持ちなのですが、双眼鏡の出番がどのくらいあるかと聞くと、多くの方が「あまりない」と答えられます。

「なぜ?」と聞くと、双眼鏡はサブ的な用途で、観測対象を望遠鏡で見る前に事前に確認する、彗星など大きく広がり望遠鏡で全貌が見えないとき、とても星が綺麗なときに望遠鏡での観測の合間に天の川などを漫然と観るくらいしか用途がないからとのこと。
(白状してしまうと双眼鏡での星見の面白さに取りつかれる前の私自身でもあります。)

まさに入門書の誘導どおりのことが多いのです。

確かにある程度大型の望遠鏡で観る星雲・星団や、月・惑星などは宇宙や天文学をダイレクトに感じることができる醍醐味があります。

また最近ではアマチュアでも昔なら天文台でなければ撮影できなかったような深宇宙の写真を写すことができるようになってきています。

天文業界の中にはどうしても「双眼鏡より望遠鏡のほうが格上」というイメージが強く、双眼鏡は「サブ」、あるいは通過点としての位置づけになってしまうことが多いように感じます。

どうも真面目な気質の日本人は「双眼鏡で星空を楽しむ」ことに貪欲でなくて、楽しむためにどうしたら良いのかというノウハウの蓄積もしてこなかったように思うのです。
(続く)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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