今年の夏は「火星大接近」(その2)

今日はとても良い天気。

散歩をしていると汗ばむほどでした。

火星ネタ続きです。

今日は「2003年の火星大接近」についてお話しします。

今から15年前の2003年8月27日にも火星の大接近がありました。

この大接近は15年ごとに起こる大接近の中でもひときわ最接近時の距離が近いものでした。

「5万7千年ぶり」の大接近という冠が付いてしまったものだから、大きな社会現象となってしまって、大接近当日には各地の公開天文台がパニックになったとか、望遠鏡が市場から消え失せたとか、かなりの大騒ぎとなりました。

同じ大接近同士で比較すれば5%と違わないので、それほど大騒ぎをするほどではないし、最接近当日の前後1~2週間ぐらいは熟練者が見てもそれほど大きさの違いが気になるほど見え方が変わるわけではありません。

ですから今回の大接近も充分大きな火星が楽しめますし、今回最接近となる7月31日の前後2週間くらいは火星観測の絶好期で、前後1ヶ月でも充分楽しめる大きさと言えます。

ところでスタパが開業したのは2002年10月で、狙ったわけではないのですが万全の体勢で火星大接近を迎えることができました。

開業後最初の夏休み期間が火星大接近と重なり、おかげでたくさんのゲストに利用頂くことができました。

あまり天候に恵まれず、観測できた日数はとても限られたのですが、当時普及しだしたwebカムと動画スタック+ウエーブレット変換のソフトを活用して出来る限り火星の画像を撮影していました。(ほとんどゲストそっちのけでした・・・)

スタパサイトに特設のページを作ってそれらを公開をしました。

以下にそのページのコピーを復刻させます。

少し長いですがかなり気合いが入っていたという熱を感じて頂ければと思います。

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2003作成「火星特設」ページより

 

5月22日現在のところ火星の視直径は10″をようやく超えたところで、真夜中過ぎに昇ってきて、日の出のころに南中します
大接近のときはいつもそうなのですが、日本ではあまり高くまで昇らないため気流の影響を受けやすく、視直径も小さいのでまだ少し見え辛いです

030522の火星 2003.05.21 18h33m(UT)
C.M.=90.2 De=-19.1 Dia=11.1″
40cmシュミカセ PL17mm
SONY DCR-PC7
Registaxにより433FR コンポジット
ウエーブレット変換約60秒のビデオ画像から433フレームを抽出し合成したものです

6月22日火星の視直径は15″超え、表面模様もだいぶはっきり見えるようになってきました
先月の写真と同様、火星面で比較的顕著な模様の少ない部分が写っています

030621の火星 2003.06.21 17h52m40~54m20(UT)
C.M.=123.5 De=-20.5 Dia=15.3″
40cmシュミカセ Or25mm
SONY DCR-PC7
Registaxにより290FR コンポジット
ウエーブレット変換約100秒のビデオ画像から気流の安定した画像290フレームを抽出し合成したものです

7月22日火星の視直径は20″超え、大接近の雰囲気が出てきました
また先月の写真と同様、火星面で比較的顕著な模様の少ない部分が写っています
ここから撮影システムが変わりウエッブカメラを使用しています
火星が大きくなっているのと合わせだいぶ良く写るようになりました

2003.07.21 15h20m(UT)
C.M.=174.5 De=-20.5 Dia=20.4″
40cmシュミカセ 直接焦点
Philips ToUcam
Registaxにより100FR コンポジット
ウエーブレット変換
動画100フレームを合成したものです

8月12日火星の視直径は24″超え、前回の大接近の時より大きくなりました
火星面では目立つ模様の大シルティスやサバ人の湾が見えています
気流が悪くあまり良い写りではありませんが南極冠がだいぶ小さくなっているのがわかります

2003.08.12 14h31m(UT)
C.M.=323.9 De=-19.4 Dia=24.1″
40cmシュミカセ 直接焦点
Philips ToUcam
Registaxにより140FR コンポジット
ウエーブレット変換
動画140フレームを合成したものです

8月21日火星の視直径は25″に達し、本当に大きく感じられます
火星面で最も目立つ模様の大シルティスが見えています
台風一過だったのですが意外に気流が安定していて多分今シーズンのベストショットだと思います

2003.08.21 16h37m(UT)
C.M.=274.0 De=-19.0 Dia=24.9″
40cmシュミカセ 直接焦点
Philips ToUcam
Registaxにより390FR コンポジット
ウエーブレット変換
動画390フレームを合成したものです

8月27日最接近の火星を見ることはできませんでしたが、2日後の画像です
派手な模様の無いあたりですが、いろいろ写っています
南極冠が急速に縮小しているのがわかります



2003.08.29 14h34m(UT)
C.M.=173.3 De=-18.8 Dia=25.0″
40cmシュミカセ 直接焦点
Philips ToUcam
Registaxにより179FR コンポジット
ウエーブレット変換
動画179フレームを合成したものです

9月2日最接近を少し過ぎましたが9月中は充分大きな火星が楽しめます
早い時間からの観望ができますので長時間楽しむことができます
天候も少し安定してきましたので火星の自転の様子を捉えることができました

11h03m(UT)C.M.=77.7 12h06m(UT)C.M.=93.1 13h11m(UT)C.M.=108.9 14h32m(UT)C.M.=128.7 15h31m(UT)C.M.=143.1
共通データ
2003.09.02  De=-18.8 Dia=24.8″
40cmシュミカセ 直接焦点  Philips ToUcam
Registaxによりコンポジット ウエーブレット変換

9月も中旬を過ぎましたがまだまだ充分に大きく見えます
南極冠がかなり小さくなって形もだいぶいびつになってきていることがわかります
右写真の中央付近の蛇の頭のような模様はサバ人の湾といい火星の名所のひとつです

2003.09.17 14h12m(UT)
C.M.=359.8 De=-18.5 Dia=23.2″
40cmシュミカセ 直接焦点
Philips ToUcam
Registaxにより543FR コンポジット
ウエーブレット変換
動画543フレームを合成
9月下旬から10初旬には晴れる日が多くなって観測できる日は多くなったのですが
秋から冬の空特有の気流の悪さで、火星の見かけの大きさのわりに模様が見えにくくなっています
この写真からバーローレンズ(テレビュー製パワーメイト)で拡大しています

2003.09.26 13h52m(UT)
C.M.=272.7 De=-19.1 Dia=21.5″
40cmシュミカセ 2倍パワーメイト
Philips ToUcam
Registaxにより232FR コンポジット
ウエーブレット変換
動画232フレームを合成

2003.10.09 13h31m(UT)
C.M.=138.9 De=-20.45 Dia=18.2″
40cmシュミカセ 2倍パワーメイト
Philips ToUcam
Registaxにより298FR コンポジット
ウエーブレット変換
動画298フレームを合成

 

11月になるとさすがに火星は小さくなり気流も
悪くなるため観測しつらくなります
南極冠はもうすぐ消滅するのでしょうか

2003.11.06 11h34m(UT)
C.M.=215.7 De=-23.3 Dia=14.1″
40cmシュミカセ 2倍パワーメイト
Philips ToUcam
Registaxにより89FR コンポジット
ウエーブレット変換
動画89フレームを合成

11月以降火星はどんどん遠ざかり秋から冬の激しい気流に阻まれほとんど観測することができませんでした
大接近フィーバーも嘘のように静まりしばらくは火星ともお別れといった感じです(完)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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