今日は数日ぶりの青空。
スタパ近くの畑ではレタスがスクスク育っています。
さて、星見用の双眼鏡として7×50を奨めないわけの続きです。
7×50が奨められない理由として、
・中途半端な見かけ視界のため暗順応リングが発生しやすい(気になりやすくい)
・瞳径が大きくて視界がとても明るくいので微光星とのコントラストが低くて見えにくい
というダブルパンチかあると昨日は解説したのですが、以下具体的に説明します。
まず見かけ視界ですが暗順応リングの幅が10度前後であることから見かけ視界が40度未満では視界面積のほとんどが暗順応リングに覆われるため逆にあまり気になりません。
また見かけ視界が60度以上になると暗順応リングによる白けの面積が視野全体の割合として小さくなることと、視野端は眼の視野の周辺となり知覚のやや鈍くなる位置になることもあり、あまり気にならなくなります。
現状市販される7×50のほとんどは見かけ視界が45~55度なので暗順応リングの影響をもろに受ける仕様といえます。(Nikonの超お高くて見かけ視界が以上に広い7×50では暗順応リングの影響は皆無でした。)
通常の設計の双眼鏡(ポロタイプやダハタイプ)ではプリズムの全反射角の制限から、実視界をあまり大きく取ることができず、7×50では高級なプリズムを使用しても見かけ視界55度が精一杯になってしまうようです。
さてここで生理学的見地から50度程度の見かけ視界にどのような意味があるか考察して見ようと思います。(いよいよ本題です)
下にこのブログではわりとお馴染みになっている網膜上の視細胞の分布図を示します。
人間の眼の網膜上には錐体(すい状細胞)と桿体(かん状細胞)があります。
錐体は形と色を認識するための細胞で、視野に中心付近に密集しています。
桿体は視野中心から10~25度の付近に特に多数が分布して、動きの認識と、感度が高く暗所が得意な細胞です。
暗い場所では主に桿体でものを見ているといえます。
暗い天体を見るときのテクニックとして「逸らし目」(周辺視ともいいます)があります。
これは錐体は色や形を見るのには適しているのですが、感度が低く、暗い場所ではほとんど役に立たず、視野中心付近には桿体が少ないので、桿体の多くある視野中心から10~20度離れた場所の網膜を使うと暗い物が良く見えるためです。
ところで見かけ視界50度前後の視界では、この桿体の密度が最も高くて活発に働くあたりが視野端になり、暗順応も活発に行われます。
「逸らし目」で10度前後双眼鏡の視野中心から眼を逸らすと、その分視野外で暗順応した部分が視野内に引きずり込まれ暗順応リングを作ります。
視野中心から30度以上(見かけ視界60度以上)では桿体の密度が緩やかに低下するのと、分解能(視力)や認知度も低下して行くので暗順応リングの影響をあまり感じにくくなるのだと思います。
続く