天体望遠鏡入門講座 第二章 2-7

今日は晴れのち曇りのち晴れ

20時くらいまで気を揉みましたが、21時には快晴となり、久々に新月の週末。

気持ちのよい観察会ができました。

望遠鏡入門講座、第二章の最終回。

屈折と反射の得失を考えます。

第二章 望遠鏡の光学系

2-4.屈折と反射どちらを選ぶ?

これから望遠鏡を購入しようと思うとき屈折式と反射式のどちらが良いのかという疑問を持つ方が多いです。

正直なところ何を観察・観測したいかによって答えはありません。

どんな魚を釣るかによって釣り竿が違うように、何を移動させるかによって乗り物が異なるように望遠鏡にオールマイティーが無いからです。

まずは屈折式と反射式の得失をまとめてみます。

屈折式の得失
○今度順応が早い
○筒内気流が少なく像が安定
○メンテナンスが容易(レンズが清掃しやすい)
○光軸が狂いにくい
●長い(アポクロマート式ではそれほどでも無いが、長いと架台も強度が必要)
●高価(アポクロマート式はもの凄く高価)
●色収差がある(アポクロマート式ではそれほどでも無い)

反射式の得失
○安価
○色収差が無い
○口径のわりに小型
●温度順応に時間が掛かる
●筒内気流が大きい
●光軸が狂いやすい
●副鏡および支持金により回折の影響が出る
●メンテナンスに手が掛かる(シュミカセなどの閉鎖形だとそうでもないが反射鏡が汚れやすく定期的な清掃が必須)

得失だけの比較で見ると高価なことを除けば屈折式が有利といえますし、特にアポクロマート式であればもの凄く高いことを別として優れている点が多いです。

ただし屈折式の場合、一般的な市販品としては口径は最大でも15cmで、これより大きな口径が必要になると反射式しか販売されていません。(方式にもよりますが反射式では最大50cmくらい迄市販品があります。)

大口径で暗い天体や星雲星団を観る、惑星面の詳細を観測するなどの用途には反射式(カタディオプトリック式を含む)の選択肢しかありません。

ただし経験上、同口径の比較であればほぼ間違いなく屈折式のほうが良く見えます。

8cmの屈折と10cmの反射だと(望遠鏡の出来の良さにも左右される部分も大きいのですが)ほとんどの場合、屈折式のほうが良く見えます。

また、8cmの屈折と12cmの反射だと観察する天体により少し差が出て、惑星なら屈折式、星雲星団なら反射のほうが良く見える傾向が強くなります。

望遠鏡を選ぶときには見え方以外にも鏡筒の長さや重さなどを含む運用のしやすさなどを考える必要があるのですが、初心者向けには屈折式がお奨めといえます。

そんな事もあり、スタパの貸出用望遠鏡は扱いやすくメンテナンスの容易な屈折式とシュミカセ、マクカセなど閉鎖形カタディオプトリック式が多いです。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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