ホントに超入門 「望遠鏡の使い方」-19:接眼レンズについて-5

昨晩は満室のお客様なのに、ついに晴れず・・・(>_<)

結局、今日も夕方まで曇天だったのですが、日没近くなって急速に晴れ間が
広がり・・

 

素晴らしい夕焼け雲。

 

刻々と表情が変わって行き、しばらく目が離せないほどでした。
さて超入門シリーズ、今日も「接眼レンズについて」の続き・・・、

昨日の続き「接眼レンズの仕様について」(その4)です。

昨日は数値で表れにくい性能について「周辺像の鋭さ」と「ヌケの良さ」について
説明しましたので、今日はその続きです。

3.アイポイントの寛容さ

接眼レンズの仕様についてアイレリーフについて説明していますが、これは
単純にレンズ後端から光軸上にどれだけ眼を離したところで視野全体を見渡す
ことができるかを示す値です。

一方、アイポイントというのは光軸上の距離だけでなく、上下左右方向の
瞳の位置も含めて視野をのぞき込める範囲を示します。

古くからある接眼レンズ(オルソやケルナー、ハイゲンなど)の場合、わりと
アイポイントの位置が寛容で、少しズレても見える範囲がすこしづずつ狭く
なって行くだけで、突然見えなくなってしまうことが少ないです。

しかし、最近の広角タイプの接眼レンズではアイポイントが少しずれただけで
「ブラックアウト」といって視野が突然見えなくなってしまうものがあります。

また、ブラックアウトする前にはビーンズエフェクトといって豆の形に黒い
部分が現れ、視野の一部が見えなくなってしまうという現象も起きます。

 

上の写真は左が正しいアイポイント、右が眼が少し左にずれた状態です。

左の写真では右下に豆の形の一部のような舌状の影が出ています。(少し
分かりにくいかも知れませんが・・・)

広角タイプの場合、高価なものもブラックアウトが発生するのですが、
アイポイントの位置が比較的寛容で、少しズレてもブラックアウトしづらい
傾向にあります。

慣れの問題もありますので、個人で使用する場合にはそれほど気にしなくても
よいのですが、人に覗いてもらうような場合には(特に子供や高齢者では)うまく
覗けない人もいますので、覗きやすい接眼レンズを準備しておくことが重要です。

4.望遠鏡との相性

もしあなたの望遠鏡がF12以上の長焦点屈折なら大丈夫、まず相性の悪い接眼
レンズに出逢うことは少ないと思います。

でもF6以下の短焦点(反射、屈折に関わらず)であったり、カセグレイン系の
望遠鏡(シュミカセ、マクカセも)などや、エクステンダーレンズと呼ばれる
主鏡の焦点を引き延ばすレンズと組み合わせた屈折望遠鏡であるなら、注意が
必要です。

短焦点の望遠鏡では主鏡が集める光は(長焦点に比べ)急角度で接眼レンズに
入射します。

接眼レンズがこの入射角度に対応していないと、正しく像を結ばなくなって
しまう場合があります。

短焦点の望遠鏡では、短焦点に対応していると謳っている接眼レンズを選ぶ
ようにしたほうが無難といえます。

カセグレイン系の反射望遠鏡は副鏡が焦点距離を引き延ばすエクステンダーの
役目をしていますので、エクステンダー付きの屈折望遠鏡と同様の組み合わせ
といえます。

実は接眼レンズの中にも「スマイスレンズ」といって望遠鏡の焦点距離を引き
延ばすバーローレンズやエキステンダーレンズと同じ働きをするレンズを
組み合わせているものがあります。

 

写真は「星の手帖社」の35倍組立望遠鏡の接眼レンズ部分です。

一番対物レンズ側(左)のレンズは2枚合わせのスマイスレンズです。

比較的単純な構成の接眼レンズでは焦点距離が短くなるほど焦点距離に比例
してアイレリーフが短くなる傾向があります。

スマイスレンズを使えばアイレリーフを短くしないで倍率を高く(接眼レンズの
焦点距離を短く)できるので覗きやすさが確保できるというわけです。

わりと高倍率用に限定していて、望遠鏡の光軸近くの狭い範囲のみを引き延ばす
形になるので、(悪名高い)普通のバーローレンズよりもよい結果が得られやすい
というメリットがあります。

でも、カセグレイン系やエクステンダー付き屈折では、すでに一度焦点距離を
引き延ばしていますので、もう一度引き延ばすとあまり良い結果が出ない場合が
多いようです。

これらの主鏡の場合にはスマイスレンズを含まない接眼レンズを選んでおくのが
無難です。
さてさて、「ホントに超入門」シリーズのはずが、いつの間にかかなり
マニアックな方向に話が進んでしまいました。

でも、接眼レンズというのは望遠鏡の光学性能の半分を担う部品です。

どんなに良い対物レンズの鏡筒を手に入れても、接眼レンズが悪ければ本来の
性能は発揮できません。

非常に重要な部品であることを理解して頂きたいと思います。m(_ _)m

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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