今日はまた曇り空の一日。
さてSVBONY祭りの途中ですが次の品のレービューを始める前に、その前振りを少し・・・
(次にレビューするのはSVBONY社製フィールドスコープのフラッグシップ機「SV406P」の予定です。)
「星を見るのになぜフィールドスコープ?」と疑問を持たれる人がいるかも知れません。
でも(すでにたくさんの方が語られているのですが)、天体望遠鏡としてもそこそこ楽しめる物なのです。
そもそもフィールドスコープと天体望遠鏡の違いですが、
フィールドスコープ
正立像専用で地上の観察が主体
比較的低倍率(15~60倍)ただし倍率の自由度が低い
カメラ三脚への搭載が基本
携帯性重視
比較的高価
対して天体望遠鏡は
倒立像が基本(ミラーやプリズムを使うこともあるがオプション的使用)
高倍率主体(30~100倍以上)
光学性能重視(より暗い星を高倍率で)
汎用性重視(眼視、写真)
赤道儀など重量級の架台との組み合わせが多い
などなど、かなり方向性が異なります。
ただし比較的低倍率の範囲で星空を楽しむという使い方であるなら、フィールドスコープも天体望遠鏡もほとんど違いがなく、むしろ初めから正立像前提であることや、携帯性に優れていることから、このての用途に限ればフィールドスコープが勝っていると言えます。
フィールドスコープのメリット
★その1:正立像で見える
当然ですがフィールドスコープは昼間使うことができる(むしろそのための望遠鏡な)訳で、昼も夜も使えるので出番が多くなります。
天体望遠鏡にも正立プリズムを組合わせることができるのですが、光の減衰が大きいとか、高倍率で像がボケやすいため、あまり好んで使われないマイナーなオプションです。
天体望遠鏡は倒立像が基本で、天頂ミラーを使うと正立鏡像(左右が逆)と言う場合が多く、いずれにしても直感的に見たい方向に望遠鏡を動かせないことが多いです。
フィールドスコープならこの心配がなく、初心者でも直感的に扱うことができます。
★その2:傾斜型が選べる
フィールドスコープには覗き込む角度によって直視型と傾斜型があります。
天体用として用いるなら直視型では天頂方向を覗くのが非常に苦しくなるので傾斜型が択一です。
天体望遠鏡だと見る角度により、ミラーやプリズムを付けたりハズしたりと面倒ですし、常にそれらの部品を準備していないといけない煩わしさもあります。
★その3:オールインワンである
フィールドスコープはカメラ三脚に載せればすぐに使い始めることができます。
望遠鏡は色々なことに使えるよう汎用性を重視している物が多く、かなり色々な部品で構成されています。( 上はどちらも口径50mmのものです)
色々なことができる反面、組み合わせが複雑になり煩わしさも大きなものになります。
気軽に使うという意味ではフィールドスコープが勝ると思います。
★その4:低倍率重視である
望遠鏡に詳しくない人ほど高倍率が偉いと思うことが多いのですが、高倍率になるほど視界が狭くかつ暗くなり、ブレが大きくなり、星の追尾が煩雑になります。
月を愛でるなら60倍もあれば充分ですし、スバルやオリオン大星雲などメジャーな天体を見るなら30倍くらいがお奨めです。
惑星や近接二重星などでは100倍以上の倍率が欲しくなりますが、初心者向けといわれる望遠鏡を用いて、初心者がその倍率を使いこなすのは正直なところかなりハードルが高いです。
惑星をそれなりに楽しもうと思うと少なくとも口径100mm以上の望遠鏡が必要になり、気軽に使うという雰囲気ではなくなります。
フィールドスコープは15~60倍くらいまでと割り切っているので、使い勝手が良く、実は楽しめる対象が意外に多いのです。
★フィールドスコープのデメリットまとめ
デメリットもありますのでまとめておきます。
・高倍率が出しづらい:携帯性重視のため短焦点で、プリズムの影響で高倍率でボケやすい
・倍率が変えづらい:ズーム式接眼レンズ以外は高価な純正レンズが必要なことがほとんどで交換がやや煩雑、あまり高倍率のレンズが用意されていない
・天体写真向きでない:コリメート式が前提となるため高解像が得にくく、低輝度向きでない
・高価である:同じ口径の望遠鏡に較べ高価なことが多い
この辺のデメリットを理解したうえで使うと、かなり楽しく星空散歩ができます。
もしも1台だけしか持って行けないという選択に迫られたとき、最後に選ぶのはフィールドスコープかな・・・と思うのです。
そういう意味では初めての望遠鏡がフィールドスコープでも良いと思うのです。
オーナー様、
以前から思っていましたが、もともと野鳥や景色を見る趣味のある人が、ちょっと星を見てみようと言うときにはフィールドスコープはベストですね。望遠鏡を改めて買い足す必要がありませんし、星を見ても十分に楽しめる性能があります。
昼間、野鳥を見ながら森を歩き、日が暮れて西に三日月が見えるような時、フィールドスコープを月に向ければ、最高の体験が味わえます。加えて夏ならば天の川の散策、M8、 M22 、M13、秋ならばM31、2重星団、冬ならばスバルやオリオン座大星雲、ぎょしゃ座のMトリオ、これくらいの対象ならば難なくこなせます。
値段は高いですが、双眼鏡より高い倍率が使えるのと、歩きながら思い立ったときにカメラ三脚を立ててすぐ使える携帯性、確かにオールインワンとおっしゃるのもわかります。
小澤さま
おっしゃるとおりの使い方がまさにフィールドスコープの醍醐味だと思います。
双眼鏡じゃちょっと物足りない、望遠鏡だと大げさ、まさに双眼鏡と望遠鏡の間を埋める位置づけと考えば良いのかも知れません。
正立像というのは倒立像や正立鏡像になれた熟練者でも想像以上に使いやすいものですし、もちろん初心者には大変受けが良いです。
そういった意味で初心者には初めての望遠鏡として、熟練者には双眼鏡と望遠鏡のあいだを埋める物として1台持っていて良い機器だと思います。