今日はやや雲の多い一日。
夜も雲間からなんとか星が見える天候でした。
さてSV406Pのレビューですが今回が一応の最終回となります。
今回のテーマは「K型経緯台に載せる」です。
別にSV406Pに限ったことでは無いのですが、K型経緯台というのは望遠鏡の老舗メーカーであるミザールの製品で、片持ち型のポルタ式経緯台などが主流になる前はわりとメジャーな経緯台でした。
ただしいわゆるシーソー型と呼ばれる方式なので、鏡筒がある一定より上を向くと大きなモーメントが発生して上下方向の操作が不安定になりがちという欠点がありました。
モーメントを発生させない(発生させにくい)方法もいくつか考えられるのですが、なるべく簡単な方法で快適にSV406Pを使えないかとこさえたのがこちら。
「L字型」アームを逆さまに取付け、上下回転軸の近くにスコープの重心が来るようにしています。
作例ではL字アームの強度が少し弱いので少しブレますが、何とか許容範囲です。
水平から天頂まで快適に運用できます。
微動装置が使用したかったのでK型経緯台を使用していますが、通常のカメラ雲台を用いるときもこのようにして上下回転軸の近くにスコープを配置すれば、モーメント変化によるバランスの心配をしないで運用することができるようになります。
SV406Pを最低倍率の20倍で運用する限りは、通常のカメラ三脚やフリーストップ式の架台でも充分ですが、60倍で使うときはやはり微動があった方が便利なことが多いです。
組合わせる架台として相性の良さではスコープテック「0(ゼロ)」が一押しですが、少し高価なのと、しばらくの間生産が休止されているようなので、その代替案としてまだ入手可能で少しお安いK型経緯台を活用する方法を紹介しました。
「良い望遠鏡の条件」として私は常々「ポン・パッ・サッ」(ポンと出して、パッと見て、サッとしまえる)ができることと話ししています。
望遠鏡を使い始めるのに事前準備が必要だったり、運ぶのが手間だったりすると、ついつい億劫になって使用頻度が下がりがちになりやすいです。
またさあ見ようと思い立ってからスタートまでの時間が長く掛かると、往々にして天候が急変します。(結構多いジンクスです。)
組立が終わってもファインダーの調節だとか、赤道儀のアライメントだとか実際に見られるようになるまで時間が掛かるのも困ります。
出したらすぐにパッと見たいですよね。
そして撤収も簡単なのに越したことはないです。
観測で疲れているのに片付けがたいへんだと次へのモチベーションが下がります。
天候の急変で慌てて撤収というときもサッとしまえるのは気楽です。
「ポン・パッ・サッ」ができると稼働率が上がり結果的にコストパフォーマンスが向上するのです。
SV406Pの場合、とにかくオールインワンなので準備が簡単ですぐに見始めることができます。
初めから地上用ですので昼間の出番も期待できます。
IPX7に対応した防水機能なので天候の急変という最悪な状態でも安心です。
普通の天体望遠鏡に較べてコンパクトなのでキャンプや旅行のお伴としてもとてもお奨めです。
初心者向け望遠鏡としては少し高価な部類に入るかも知れません。
でも使うのがとても楽しくて、高い稼働率が期待できると考えれば、充分に元が取れる買い物になるのではないかと思います。
ちなみにスタパは予想以上に嵌まりました。
オーナー様、K型経緯台に載せるとは、素晴らしい工夫ですね。
「ポン、パ、サ、」でかつ持ち運んで歩ける望遠鏡が過去になかったか、思い出してみました。
一つは、今から半世紀ほど前だったと思いますが、エイコーかスリービーチ(どっちか忘れました)から、筒型のピラーの先に小さな三脚が付いており、ピラーの中に鏡筒一式が収納できる構造の6cm屈折がありました。
もう一つは、ボーグの初期の望遠鏡で、これまたピラーの中に収納できるもの。76mmと、100mmがあって、その後にカメラ三脚となったものです。以前私が使っていたものは、76mmEDのカメラ三脚簡易赤道儀タイプです。
今回、オーナー様のK型プラスフィールドスコープは、これらの過去の望遠鏡と比較して優れた点が2つあります。一つは圧倒的なポータビリティ、もう一つはズームで20倍から一気に60倍まで上げられるところ、です。普段はあまり気がつきませんが、よく考えてみるとこれ以上無い便利さと面白さが得られますね。特にズーム、これはいいですね。アイピースを取っ替え引っ替え変える手間がない上に、ズームで一気にクローズアップと同時に背景のコントラストが上がり微光星が浮かび上がる、これはたまらんでしょう。
もちろん望遠鏡は100倍以上の倍率で使えると言う利点がありますが、アイピースを変えなければならない事、ポータビリティという点では一歩譲ります。
昔、ミザールからゼンゲルデラックスと言う初心者向けの望遠鏡がありました。簡略な作りでしたがレンズ性能は良く、初心者用とは思えないほど高倍率に強いものでしたが、いかんせん長くてこれを持って野山を歩くことはまず不可能。
ポータビリティがいかに実用的かをかんがえると、たしかにフィールドスコープを初めの一歩に使うと言う発想はありだと思います。
小澤さま
ポータビリティーという面でボーグのピラーに入れる形はなかなかくすぐられる物がありましたね。
調べたら1970年代初頭にケプラーという会社がピラーに鏡筒を入れるという製品を出していました。
星見にズーム式フィールドスコープを使うというのはポータビリティーという面もありますが何より割り切りの良さで、これだけで全て完結というところが良いと思います。
何も悩まずにとにかく見ることだけに専念することができるのが良いのかも知れないと感じています。