2.良い望遠鏡とは
望遠鏡の性能は何で決まるかご存知でしょうか?
倍率でしょうか? 価格でしょうか? レンズの精度でしょうか? メーカーの良し悪しでしょうか?・・・・
いずれも当たらずしも遠からずといったところで、理論的には望遠鏡の口径(対物レンズの大きさ)で決まります。もちろんレンズの精度や設計によっても大きく変わるのですが、ここではあくまでも『理論的』ということで話を進めます。
口径が大きくなると、レンズの面積に比例してたくさんの光を集めることができますし、レンズの直径に比例して解像度(望遠鏡の世界では分解能といいます)が向上します。
このため、より暗い星を観測することができますし、高倍率にしても像が暗くならず細かいところまで見ることができるようになります。(倍率の話は別の機会にもう少し詳しく説明したいと思っています。)
それでは口径が大きいほど良い望遠鏡なのかというと一概には言えない部分があります。つまり『性能の良い望遠鏡』=『良い望遠鏡』では無いことにうすうす気付かれる方も多いでしょう。
口径が20cmを超えるとどんなにコンパクトに作っても、一人で気軽に持って歩くのが難しくなります。組み立てたまま家から外へ持って出ることができませんし、暗い屋外での望遠鏡の組み立て・分解は度重なるとだんだん億劫になります。
良心的な望遠鏡ショップでは一人で使うことを前提とした場合20cm以上の口径は奨めないことが多いようです。
また、家のなかに置いておくにしても相当のスペースを取り、日本の住宅事情ではインテリアとして許容できる大きさを超えてしまうことが多くあります。
体力に自身のある方の20cm以上でも、望遠鏡の構造によっては40cmくらいでも使えないことはないのですが、この場合どうしてもコンパクトさを重視せざるを得なくなります。でも、コンパクトにするということは、必ずどこかで犠牲になる機能や性能があると断言できます。
コンパクト化を図る手法として光学系を犠牲にするか、機械系を犠牲にするかということになります。光学系を犠牲にして小型化を図った場合、その口径が持つ本来の性能が出なかったり、出にくかったり、調整や使用環境が難しかったりします。また、性能を犠牲にしない場合には、もの凄く高価になったりします。
望遠鏡の筒(鏡筒といいます)を載せて自由に動かしたり、星を追尾したりさせる台のことを「架台」といいます。機械系を犠牲にするというのはこの架台をチャチなものにしたり、機能を限定するということになります。チャチな架台(三脚も含めて)はそよ風が吹いても望遠鏡がフラフラ揺れ、ピントを合わせようと望遠鏡にさわった途端に星がどこかに飛び出して行ったりして、落ち着いて星を見ることができません。また、機能を限定した架台は使い勝手が悪く、万人向けではなくなります。
せっかく大金をはたいて買う望遠鏡ですから、買ったあとに押入れの肥しにならない望遠鏡が本当に良い望遠鏡なのだと思います。人によって価値観や予算や住宅事情、さらには知識や望遠鏡に求めるものが異なるので一概にこの機種と決め付けるのは難しいいのですが、いかに気軽に使えて、思い立った時にさっと屋外に出して、ストレス無く星を見ることができるか?というのが初めての望遠鏡選びのポイントになります。
欲を言えばその望遠鏡が、将来、上位機種にアップグレードできたり、上位機種を購入してもサブ機種として生かせることができるような選択がベストだと考えます。
具体的なお奨め望遠鏡のお話は少し先になると思いますが、今日のお話をまとめまとめると・・・
・くれぐれも倍率を売り物にした望遠鏡には手を出さないでください。
・初めは見栄を張ってあまり大きな望遠鏡に手を出すのはやめましょう。
・鏡筒(望遠鏡の筒)の大きさわりに架台のしっかりした感じのものを選ぼう。
次回をお楽しみに・・