眼の話(星を見るのに役立つ) -その4-

早いもので今日から9月・・・

「眼の話し」は続きます。

昨日は視細胞には錐体(すいたい)と桿体(かんたい)があるというお話をしました。

錐体は色や形を認識するのに使われる視細胞なのですが・・・ 
この錐体、困ったことに感度があまり高くありません。

薄暗い場所ですと、色が見えにくくなります。
満月の明るさくらいまで暗くなると、色を認識するのがかなり難しくなります。

朝寝坊をして、慌てて照明を点けずに靴下を履いたとき左右が黒と紺の色違い
だったなんてことは無いでしょうか?

暗くなると錐体はからきし元気がなくなって、ちゃんと働いてくれなくなるので
色が判らなくなってしまうのです。

暗い場所で良く働いてくれるのが桿体です。

下は以前にもお見せした夏の星雲星団のひとつでM17です。

 

写真に撮ると色や形がハッキリ判るのですが・・・・

肉眼で望遠鏡をのぞくと下の写真のようにしか見えません。

 

色は見えず、形も少しあやふや(細かいところがわかりにくく)になります。

スタパの40cm望遠鏡で条件の最高によい日に見てこのくらいが何とか
見えるかな?といったレベルです。
(視野円の直径の2倍くらい離れたところから片目で見ると、倍率100倍で
見たときと同じくらいの感じにしてあります。)

昨日の錐体と桿体の眼の中での分布図を思い出して頂きたいのですが、
視線の中心方向には桿体はあまりたくさん無くて、錐体ばかりがあります。
桿体は視野中心から15°から20°離れたところにたくさんあります。

このため、まっすぐ視野の中心を見ていても星雲はあまり良く見えなくて、
グレーで示した円のあたり(視野中心と視野端の中間ぐらいを)見て、
視野中心に意識を集中すると写真のように星雲が浮かび上がって見えて
きます。

これ「周辺視」とか「そらし眼」といわれる天体観測では絶対身につけたい
テクニックのひとつです。

これができるか、できないかで暗い天体をうまく観察できるかどうか、
まさに「明暗」の分かれ目です。

 ドレミファそらし眼~♪ ドシたらみえるか~♪

   お粗末・・・       続く・・

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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眼の話(星を見るのに役立つ) -その4- への2件のフィードバック

  1. すずき のコメント:

    夏休み、大盛況の夏休み乗り切られてお疲れ様でした。
    「そらし見」 体感的には見えやすくなると経験してましたが、ようやくなんとなくですが、理屈がわかりました。ありがとうございます。でも「そらし見」まだうまくできないことが多く、以前はやった、2つの写真を「より目」「そらし目」で見ると立体に見える本でも感じたように、うまくいくとびっくりするほど見えるけど、それがなかなか持続しません。
    これも訓練するしかないのでしょうか?

  2. スタパオーナー のコメント:

    すずきさま
    2つの写真を「より目」「そらし目」で見ると立体に見える・・・
    マジックアイとかいうやつだたと思うのですが、私の場合、これ全くだめでした [E:sad]
    暗い天体を見るときには自動的に「そらし眼」ができる身体にはなっているのですが・・・[E:coldsweats01]

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