筒内気流の話 -その2-

昨日は一日荒れ模様・・・

 

一夜明けて今朝はよい天候になりました。

夜のうちにはポツポツ星が見える程度まで回復していて、今朝には
何とかまた月の撮影がでるまでに回復してくれました。

このサイクルの月はこれで終了。

月齢3(正確には2.9)から27(同27.4)までの25日のうち欠測は昨日の
1日のみ(これがとても残念なのですが・・本州付近は全滅状態だった
ようなのでやむなし!)で、教育的に良い組写真ができたらいいなぁと
思っています。

さて、今日は昨日の続き・・・

 

これは昨日もお見せしたシュミカセの構造図です。

カセグレイン系の副鏡は主鏡の焦点距離を伸ばす働きを持っています。

一般的なF10のシュミカセは5倍の拡大率で設計されているのですが、
焦点距離が5倍に拡大されるということは、筒内気流による光路の乱れも
5倍に拡大されることになり、昨日解説した光学テコによる4倍の増幅と
掛け合わせると、屈折に比べ20倍もの光路の乱れが発生することになります。

大きな蓄熱部品である反射鏡が一番下側にあり、容易に熱が逃げないように
シュミットレンズが蓋になっていますので、筒内では常に対流が起こり続け
絶望的に安定しづらいという事になります。

冬の夜中気温が下がり続けるような時には、一晩中筒内気流が安定せず
よいコンディションにならないまま夜が明けるなんてことが当たり前に
おこります。

シュミカセなどカタディオプトリック系の反射望遠鏡がなぜ、筒内気流の
面で不利なのかがおわかり頂けたのではないでしょうか?

こう書きますと、反射系の望遠鏡は使い物にならないのか?などと思う方が
いるかも知れませんが、決してそんなことはありません。

まあ、充分に外気に順応させたり、積極的に筒内の換気をしたりして
少しでも筒内気流を減らす努力は惜しまないにこしたことはありません。

でも、反射系の望遠鏡と言うのは同口径の屈折に比べ桁違いに安価です。

また、同口径の屈折よりも遙かに短く、軽く、取り回しが容易です。

もちろん同口径であれば集光力も同等ですから、多少筒内気流が多くても
低倍率での暗い星や星雲星団の観測にはそれほど支障がありません。

私自信はもう30年もシュミカセを使い続けています。

それは、例えば口径20cmのシュミカセは10cmの屈折と同じくらいしか
惑星などの細かい模様が見えなくても、集光力は20cm分ありますし、
使い勝手は筒が短いぶん10cm屈折より扱いやすいという考えによります。

筒内気流の話から少しズレて来ましたが、望遠鏡を選ぶときの参考知識として
頂ければ嬉しいです。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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筒内気流の話 -その2- への4件のフィードバック

  1. すずき のコメント:

    今回もすごく判りやすかったです。シュミカセが筒内気流に対しつらいのは、単純に密閉されていてかつ焦点距離が長いからくらいにしか考えていなかったのですが、確かにF10なた屈折の20倍厳しいということが判りました。
    いつも悩むのは、温度順応させていって、いった順応しきったのだろうかどうだろうか判断がつかないことです。よく見えていれば何も問題ないのですが、ちょっと見え味が悪いと、空の条件なのか、光軸が微妙にずれたのか、筒内気流のせいなのか、いろんなことが複合して判断がつかないことがままあります。経験で覚えていくことなのでしょう。

  2. 山田智子 のコメント:

    明けましておめでとう御座います。いつも楽しみに拝見しています。
    まだいろんなお話のほうは、理解できませんが・・・[E:shock]
    実はふたご座流星群で、そちらにお邪魔した時、オーナーのお知り合いのかたの、
    テカポの天の川の写真を見て、忘れられず、1月20日からニュージーランドに行くことにしました。テカポには2泊し、星観察ツアーの時間が持てるそうです。
    写真にも全く興味なかったのですが、最近一眼レフ等も購入し、
    ミクシイの星コミュの人達からいろいろ初歩的な撮り方など教えていただいております。
    急場しのぎなのでどうなるか・・・無謀ではあります。[E:night]
    だめもとではありますが、一枚でもいいと思って行って参ります。

  3. スタパオーナー のコメント:

    すずきさま
    いつも応援ありがとうございます。
    すずきさんにとってタイムリーなネタだったようで何よりです。
    最近ラプトルやアトラスなどを含め屈折望遠鏡をのぞく機会が多くなり、
    屈折独特の優しい星像を見ていると、40cmで見たときに良くは見えているのだけれど、
    とても落ち着きのない星像がどうにかならないかと思ってしまいます。
    カタディオプトリック系の望遠鏡が、なぜこんなに落ち着かないのか、よくよく考えてみたら
    このような結論がもっともらしいかなぁ~と考えるようになりました。
    まあ、オールマイティーの望遠鏡というのは無いわけですので、特質を理解したうえで
    使いこなしてあげるのがよいのだと思います。

  4. スタパオーナー のコメント:

    山田さま
    先日はご利用いただき誠にありがとうございます。
    ニュージーランドにご旅行とのこと、うらやましい限りです。
    現地は夏で夜が短いかも知れませんが、0時頃には南十字も登り日本とは
    比べものにならない星空に出会えることと思います。
    どうぞお気を付けていってらっしゃいませ!!

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