3日ぶりに家に帰ると季節はしっかり進んでいて、カラマツの木立の緑が
一段と濃くなっていました。
この時期は急速に景色が変わって行きます。
さて春の夜空というのは星の数が少なくて、少し寂しい感じがすると言われる
ことが多いです。
これは私たちの太陽系が属する星の大集団である銀河系(=天の川)が見えにくい
季節だからです。
銀河系というのは平べったく渦を巻いた形なのですが、地球が太陽の周りを
公転する軌道面と60度ほどずれているので、地球の軌道面に対する地軸の
傾きが加味されると、地平線に対してほぼ垂直に立ち上がるように見えたり、
地平線上を取り巻くように見えたり、1年サイクルで常に変化して行きます。
この時期は天の川が地平線を取り巻くように見える時期です。
上の画像はアストロアーツのプラネタリウムソフト「ステラナビゲータ」で
シミュレーションした今日の22時頃の星空です。
わかりにくいかもしれませんが(拡大して見て頂くと)地平線を取り巻くように
淡い雲のような天の川を見つけることができます。
天の川が見えにくいということは天の川(=銀河系)に属する星たちも見えに
くいということになり、他の季節より星の数が少ないのだと言うことになる
というわけです。
前置きが少し長くなりましたが、天の川が見えず、天の川の星に邪魔をされる
ことが少ないということは、銀河系の外が見えやすいということになります。
銀河系の外が見えやすいということは、銀河系の外にある銀河系のような存在
(「銀河」と言います)がよく見えるということになります。
この季節、天頂にはかみのけ座というマイナーな星座があるのですが、この
あたりが天の川から最も離れた領域で、たくさんの銀河を観察することが
で「春の天窓」とか「銀河の天窓」などと呼ばれています。
かみのけ座とおとめ座の境界近くには「マルカリアンの鎖」と呼ばれる銀河が
鎖のように繋がって並んでいる領域があります。
上の写真はマルカリアンの鎖の起点なるM84-86(おとめ座)などの銀河団です。
こちらはしし座の足下あたりにあるM65(左)とM66です。
複数の銀河が望遠鏡の同一視野にあちこちで見られるのは「春の天窓」なら
ではのことです。