この季節なのに台風接近で天候は下り坂。
幸い夕方には温帯低気圧に変わり勢力はだいぶ衰えたようですが、
この季節に台風が本州付近を通ること自体かなり異常な気象のよう
にも思えます。
さて今日も昨日の続きです。
正立プリズムを介して風景を見ると暗く感じるのは、射出瞳を見る
限り正立プリズムを介するとケラレが生じているらしいと言うことが
わかりました。
簡易的に図面を引いてケラレの状況を確認してみることにしました。
図はプリズムなどを介さない直接焦点の場合の光路図です。
この図ではピント調整のために前後するドロチューブにケラレることが
ないのがわかります。
プリズムを介するとプリズム内で光路が折り曲げられ、またプリズム
自体の厚みが加わるのでドロチューブはかなり対物レンズ側に移動
しないとピントを合わせることができません。
実測に基づき正立プリズムを装着したときのドロチューブ位置を
示したのが下図です。
ご覧のように対物レンズ外周部がドロチューブでケラレることが
わかります。(実際には迷光防止ののための遮光環の影響もあるので
もう少し複雑になります。)
正立プリズムほど光路を消費しない天頂プリズムやミラーでも程度の
差はありますが同様のケラレが発生し、対物レンズが集めた光が有効に
活用されていないことになります。
最近の短焦点屈折はドロチューブを太くしたり、可動範囲を犠牲に
して(短くして)このようなケラレが生じないようにしているものが
多いです。(可動範囲の短い分は延長筒を入れるなどしてカバーし
ます。)
古い設計の短焦点屈折ではそこまで考えられていなかったようです。
ドロチューブを60~80mmほど切り詰めるのが良さそうですが、機械
加工が必要なので少し気が重いです。