今日も曇りと雨の一日です。
こういった幻想的な風景もかなり見飽きてきました。
4.屈折とは・・・・光について
4-1.光の性質
これまでレンズを光が通過するときに光が曲げられ(屈折して)焦点を結ぶといった表現をあたりまえにしてきました。
でも、どのように(どうして)光が曲げられるのかにはふれていませんでした。
人によってはその辺の疑問が引っかかり次に進めないということもあるかもしれないので、今日は屈折という現象について考えてみたいと思います。
光には粒子(光子と言います)としての性質と、波(電磁波)としての性質があることをご存知のかたは多いと思います。
これ、概念としては何となくわかっても、完全にこの理論が理解できるのは大学の物理学科レベルの知識がないと無理だと思います。(少なくとも私にはわかりません。)
まあ、あまり深く考えずに粒子と波の両方の性質を持っていると考えてください。
光の粒子としての性格は反射という現象で説明がつきやすいです。
光が鏡に当たったときは鏡から垂直に立てた線に対して入射角と反射角が等しくなります。
これはボールが壁や床にぶつかったときと基本的に同じ振る舞いで、粒子として考えて問題なく説明がつきます。
一方、単純な粒子ですと光の屈折や回折といった現象をうまく説明することができず、波として考えることで、かなり説明が付きやすくなります。
波として考えると、波が小さな隙間を通り過ぎるときに穴を中心に波紋が広がるようす=回折(読んで字のごとく折れ曲がって回り込む現象)の原理を理解することができます。
また、波が通過する場所の密度の違いによって波のスピードが変わることによる屈折現象についても光を波と考えることができる証拠とも言えます。
それでは具体的に屈折をどのような現象として捉えるのか、詳しくは次節で説明したいと思います。
4-2.ホイヘンスの原理
前節で光の屈折を説明するのには光を波として考えるのがよいというお話をしました。
これ、ホイヘンスの原理といって、17世紀、オランダのホイヘンスさんという科学者が見いだした原理です。
このホイヘンスさん英語読みだとハイゲンスとなります。
天文ファンにはなじみの深い名前で最も古典的な接眼レンズ、ハイゲンス式(記号:H)はこのホイヘンスさんのお兄さんの考案だそうです。
弟のホイヘンスさんは土星の衛星「タイタン」を発見したり、ガリレオさんが「耳」だといっていた土星の輪を初めで「輪です!」と言い切った人でもあります。
先年、土星探査宇宙船「カッシーニ」がタイタンに落とした子探査船に「ホイヘンス」の名前が付いていたのは、この故事に習ってのことだと思います。
さて、このホイヘンスさん、万有引力で有名なニュートンさんが、いろいろ考えて「光は粒子だ」という説を展開し、これが定説になっていた頃・・・
「いやいや、波として考えれば反射も、回折も、屈折も簡単に説明が付くんですよ」と理論を展開したわけです。
上の図は直線状の波を表していますが、ある瞬間の波は非常に小さな「素元波」という小さな波の集合体であると考えられます。
物理や数学の世界では、ある現象を説明するときに、とにかく細かく細かく分解して一つ一つの性質を分析して、それをまた全体に積み重ねて物事を考えるという手段が使われます。
いわゆる微分(微かに分かる)、積分(分かった積もりになる)という手法なのですが、これもその一種と考えてよいでしょう・・・
上の図である瞬間の波は「素元波」集合体で、それぞれが波紋を広げるように進みます。
そうすると結果的には素元波の波紋の集合体は直線の波面になり、波の進行方向は波面と直角な方向になります。
この原理で考えると、前回紹介した光の回折が簡単に証明できます。
上の図で隙間に対して平行に進んだ波は、隙間を通過することのできる素元波だけが隙間の右側に出ます。
隙間のギリギリのところを通り抜けた素元波は円形の波紋の一部として広がり縁から離れたところはそのまま直線の波面が進むという形になる訳です。
この素元波という考え方で屈折もわりと簡単に説明が付くのですが、解説は次節に続きます・・・