今日は曇りの一日。
昨日も書きましたが秋風が吹き涼しいめな一日でした。
ズーム式接眼レンズシリーズ、せっかくなのでSVBONY社の新商品についてもう少し詳しくレビューをしておこうと思います。
今回発売になったのは上の2機種で、左が9-27mm、右が7.2-22.6mmの焦点距離です。
セレストロンやハイペリオンが8-24mmの焦点距離なので微妙に被らない焦点距離になっています。
ここでは価格帯の近いセレストロンのズーム式接眼との比較を交えながら紹介します。
SVBONY社の新製品はいずれも見口部分が追試とアップ式になっていてメガネの有無で適切なアイポイントに調整できます。
セレストロンの折返し式見口と較べると圧倒的に操作性が良いです。(観察会などでは便利です。)
アイレリーフは充分で見口を下げておけば、メガネをしたまま低倍率から高倍率まで充分に見渡すことができます。
ズーム操作の回転はセレストロンよりいずれもやや重めで、望遠鏡のスリーブにしっかり取り付けておかないと操作できないことがあります。
7.2-21.6mmは31.7mmの差し込み部分がストレートで落下防止の段差が付いていないので、取付時にはこれも考慮してしっかり固定しておく必要があります。
見かけ視界についてはすでに記したのですが、セレストロンが勝っています。
同社の謳い文句が「超広角」となってるのですがこれはSVBONY社の製品の中でという意味のようで真に受けると残念な気持ちになります。
ただし実際にセレストロンとの見比べではそれほど見かけ視界の狭さが気になるほどではなかったです。
むしろSVBONYの2点はコントラストの高いシャープな見え味が際立っているのと、アイポイントの位置が寛容で覗きやすいことから視野全体を見渡しやすく感じました。
謳い文句にレンズのコバ塗りをしていると記されているのですが、この辺が効いているのかも知れません。
7.2-21.6mmは以前このブログで紹介しているSVBONY社のフィールドスコープSV406Pの接眼レンズと実は全く同じもので、外装の表示だけを変えた物のようです。
SV406Pの見え味が(値段のわりに)素晴らしくよくて、ズームで倍率を変えながら見る楽しみを体験できたので望遠鏡用に販売すれば良いのに・・と思っていたのですが、しっかり発売してくれました。
観察会などで便利に使えると思います。
9-27mmは低倍率(20mm)側の見かけ視界の狭さがややネック(プルーセル20mmより実視界が狭い)ですが、口径比の大きな望遠鏡(F12~F15の長焦点屈折やマクストフカセグレインなど)で、接眼レンズの個数を絞りたくて、できるだけ低倍率で大きな瞳径が欲しいといった場合(レアですが)には特に有効だと思います。
私はETX-90やMAK150などの常用レンズとして使おうと思っています。
昼間使っていてレンズ内にホコリが入っているのを見つけてしまいました。
ズームレンズはレンズが移動するという機構的に呼吸をするのでホコリが入りやすいのかも知れません。
天体用ではほとんど気になることはないと思うのですが、気にする人は気になるかもしれません。(私は脳内でアンチダスト処理をするので全く気になりません。)
天文ファンの中にはとにかく見かけ視界の広い広角型の接眼レンズを好む方が多いのですが、私はズームレンズを使うようになって少し考え方が変わりました。
前にも書きましたが・・・
漫然といろいろな天体を見る場合には広角の方が確かに良いのですが、ひとつの天体を細かく観察したい時に、低倍率から高倍率までシームレスに倍率を変えられるのはとても楽しいです。
低倍率側で(その天体の全貌が見えていることが前提ですが)視野周辺までシャープに見える視野で全体像を把握して、そのままズームで倍率を上げて細かいところを観察したり、一番ハッキリ見える倍率を探したりするのは単焦点の接眼レンズでは味わえない楽しさです。
SVBONYのズーム式接眼レンズは1万円もしない価格でこの辺のところが楽しめるので1本所有しておいて良いのではないかと思います。
スタパオーナーさま
私はビクセンのLVズームをETXの常用アイピースにしていますが、レンズ枚数が多い割にはコントラストもシャープネスも素晴らしいです(さすがに月を見るとゴーストが目立ちます)。
以前テレビューからも、ほぼ同じ物がクリックストップズームという名前で販売されていましたから、少なくともテレビューのお眼鏡にかなう品質だったのでしょう。外観から判断するとセレストロンの物も同じOEM元と思われます。
元々アイピース交換が面倒という物臭な理由で購入したのですが、オーナー様が言われるようにズームならではの使い方ができます。例えばM42を低倍率側で見ると小さくうっすらとしか見えませんが、ズームアップするとバックグラウンドが暗くなり星雲が浮かび上がってきます。
重星を見ても面白く、オリオン座のメイサを低倍率側で見ると一つに見えますが、ズームアップすると分離して二つに見えてきます。
LVズームやセレストロンのズームが入手困難な現在。SVBONYのズームには期待したいですね。8月9日に投稿された写真を見る限り7.2-22.6mmが良さそうですが、写真ではSVBONYの製品は葉っぱの緑が黄色っぽく見えます。眼視でも同じ傾向でしょうか?
RAGSさま
いつもありがとうございます。
ズームレンズの楽しさについて私の言葉足らずの部分を補足して下さるようなコメントをありがとうございます。
倍率を変化させる事により二重星が分離したり、コントラストがあがり星雲の構造や微光星が見えてきたりと楽しいですよね。
もっとズーム式接眼レンズの楽しさに気付く人が多くなって、優秀な製品が出てきたら嬉しいですが・・・
見かけ視界比較の写真はスマホ撮って出しを貼り付けているのでカラーバランスが滅茶苦茶になっています。(申し訳ありません。)
実際はセレストロンのズームがわずかですが濁った黄色味を帯びていて、SVBONYの2点は青白くスッキリした見え味です。(追っかけ本文の方にも追加補足を加えるようにします。)
7.2-21.6mmは「押し」です。
スタパオーナーさま
いつもブログを楽しみに拝読しています。
私は、タカハシμ-210を通して銀河や惑星状星雲を眼視でスケッチしています。
これらは対象により最適倍率が異なりますが、アイピース交換の手間がかかり
Zoom接眼鏡を検討していました。
淡い銀河や惑星状星雲は、瞳径により見え方が異なり、低倍率が見やすい場合
もあるのですが、視野が広いとプロットする星が多くなるので視野の狭い方が
むしろ好都合です。
そのため、今回のレビューを参考にして、9-27 mm を注文したところです。
これからも、有益なレビューを楽しみにしています。
大石様
拙ブログが参考になりましたようで何よりです。
SVBONY社の製品はあまり細かいところを気にしなければコストパフォーマンスはかなり高いと思います。
9-27mmは見かけ視界はやや狭めですが視野周辺まで切れが良く、全体にコントラストが高いので大石様の使い方としてぴったりな性能かと思います。
良い観測ができますように・・