昨晩から今日の夕方まで冷たい雨、というかみぞれが降っていて畑など積もり
やすい場所ではうっすら白くなっています。
気温もグンと下がって、そう簡単に春にはしないぞ!と冬将軍が頑張っている
ようです。
さて昨日はかなり気合いを入れて長文をアップしたのですが、ピンと来ない
かたも多いと思いますので少し補足説明をしておきます。
昨日の計算結果でアトラス60(口径60mm、焦点距離800mm)にビクセンのPL30mm
またはPL40mmを使用しニコンP5100でコリメート撮影をすると・・・
PL30mmでは35mm版相当の焦点距離で700m、F2.7。
PL40mmでは同じく焦点距離で945m、F3.4。
という光学性能が得られることになるという結論になりました。
もしも35mm版カメラ用にこのような仕様のレンズを本当に作ろうと思うと、
前玉レンズ径が、700mm/F2.7では25cm、945mm/F3.4では28cmというお化けの
ようなレンズを作らなければならなくなり、コスト面から考えても現実離れ
した話になります。
コリメート式の場合たくさんのレンズを光が通過するため、光の減衰や収差の
増大があり、単一レンズほどの性能が出ないとしても、使い方によってはとても
魅力的な仕様であることがおわかり頂けると思います。
このような組み合わせの光学系を「縮小光学系」と呼ぶことがあります。
メインの望遠鏡の焦点距離を、接眼レンズとカメラレンズの組み合わせで
縮小させて見かけのF値(合成F値)を小さくするという考え方です。
この縮小率は、
縮小率 = カメラレンズの焦点距離 ÷ 接眼レンズの焦点距離
で求まります。
カメラレンズの焦点距離が小さいほど、接眼レンズの焦点距離が長いほど
縮小率は小さくなり、合成F値をより小さくすることができます。
機能の例で実際の数値を入れて考えてみます。
望遠鏡は口径60mm、焦点距離800mm(口径比F=13.3)
カメラ(ニコンP5100)の広角側焦点距離は7.5mm、接眼レンズPL30mmと40mmでは
PL40mmの縮小率 = 7.5 ÷ 40 =0.1875
縮小率からみたF値は
F13.3 × 0.1875 =2.5
カメラのF値より小さいので、合成F値はカメラレンズのF2.7となります。
次に
PL30mmの縮小率 = 7.5 ÷ 30 =0.25
縮小率からみたF値は
F13.3 × 0.25 =3.33
カメラのF値より大きいので、合成F値は計算値のF3.3となります。
丸め誤差による差はあるのですが、計算の順番が違うだけで結論が同じなのが
わかると思います。
(昨日の解説は倍率の概念を取り入れて考えた方が全体を理解しやすいと考え
少し回りくどい説明をしました。)
F値を小さくすることができれば、暗い天体も短時間の露光で写すことが
できるようになります。
短時間の露光ですめば失敗も少なくできますし、貧弱な架台でも写せる
チャンスが増えます。
そんなことを考えて、入門機でどこまでの天体写真が撮れるのか試してみたく
なったというわけです・・・
続く・・