眼の話(星を見るのに役立つ) -その8-

ここのところカラリと晴れている日が続いていて、嬉しい限りです。

 

でもその分(?)、夜は冷え込み、昨晩は10℃を割っていました。
夜は長袖が必要ですね。

さて、今日も昨日の続き、眼の話しでV(λ)の続きです。

昨日の標準比視感度のグラフを見ながら話しを進めます。

通常、比視感度(V(λ))というと特に断らない限り明所視(明るい場所の見え方)
をいいます。

V(λ)と暗所視のV'(λ)のズレは50nmくらいなので、ちょっと見ただけでは
それほど大きな違いが無いように思うかも知れません。

でも、良く見ると青や赤の色の見え方は全く違うことがわかります。

たとえば、450nm(青)の感度を見てみるとV'(λ)はV(λ)の10倍くらい高い
感度があります。

逆に600nm(赤い近いオレンジ)の感度はV(λ)がV'(λ)の20倍くらい高く
なっています。

つまり暗所視では赤はほとんど感じられず、青ばかりが良く感じられるという
ことになります。

暗い場所だと、何となく視界が青く感じられることが多い思いますが、
この現象は昔から知られていて「プルキンエ現象」といいます。

歌の世界で、「月が青い」とか「蒼い月の光」といった表現の歌詞を誰でも
2~3曲はすぐに思い出すのではないでしょうか?

でも、月の表面は無彩色(灰色)で、太陽の光を反射しているだけですから、
月の光の成分は(明るさが違うだけで)ほとんど太陽光と同じです。

つまり、月の光は断じて青いわけではなく、「プルキンエ現象」によって
青く感じているというわけです。

 
デジカメで月夜の写真を撮ると全然普通の昼間のように写り、青い感じに
ならないことが多いです。
かえって面白くないので、雰囲気を出すためにパソコン上で少し青を強めて
処理をしています。

さてここでもう一度、眼の視細胞について思い出して頂きたいのですが、
明るい場所で色や形を認識するのは、視細胞の中の錐体。
主に暗い場所で働くのが桿体ということになっていました。

このことを比視感度の図に当てはめてみると・・・

V(λ)は錐体の感度特性で(細かく見ると錐体には赤錐体・緑錐体・青錐体の
3種類があって、それそれの合成感度がV(λ)ということになります)、
V'(λ)は桿体の感度特性そのものということになります。

明所と暗所では使っている視細胞の種類が異なっているため、比視感度に
ズレが生じV(λ)とV'(λ)という二つのカーブが生じるということがおわかり
頂けたと思います。

でもここで新たな疑問も生じます・・・

桿体は色を感じることができない視細胞のはずなのに、暗い場所で青く感じる
のはなぜなのでしょうか?

これ私自身、今まであまり不思議に思っていなかったのですが、気になり出すと
とても不思議で謎解きに少し時間がかかりました。

例によって答えは次回です・・・。 

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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眼の話(星を見るのに役立つ) -その8- への2件のフィードバック

  1. 夜空 のコメント:

    こんばんは。
    とてもよくわかりました!
    ありがとうございます。
    目は数種類のセンサーを使っていて、目の光を捕らえられる組織が、明るいときに使うセンサー
    暗いときに使うセンサーということで捕らえる波長の得意範囲が違うということですね。
    確かに人間は暗い条件ではモノクロでしか色を色覚できないと聞きます。
    何故、月の光が青っぽく捕らえられるかとても不思議です。

  2. スタパオーナー のコメント:

    夜空さん
    いつも応援ありがとうございます。
    なぜ青く見えるか・・・ もうじきアップする今日(9/11)のブログを
    お楽しみに![E:happy01]

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