眼の話(星を見るのに役立つ) -その11-

いや~、1年ぶりにスタパ40cm望遠鏡のレンズを清掃しました。

スタパの40cm望遠鏡はシュミットカセグレイン形というタイプの望遠鏡です。
基本的には反射望遠鏡なのですが、先端にシュミットレンズという(ほとんど
板ガラスにしか見えないような)特殊な形状のレンズが付いています。

このため、望遠鏡の内側はほとんど汚れないですし、もしも汚れを取りたい
場合ができてしまったときには、専門家にお願いするか、相当な覚悟をして
自分ですることになります。

そんなわけで今日は先端のレンズの表面の掃除をしました。

レンズの前面だけといっても、普通のレンズから比べるとかなりの面積で、
キズを付けないように細心の注意が必要です。

一年間の間にびっくりするほど埃が付いています。(望遠鏡の見え方には
それほど大きな支障はないのですが・・・)

かなり多くが花粉なのではないかと思うのですが、夜露に濡れたり乾いたりの
繰り返しで、少し払ったくらいではびくともしません。

 

アルコールをタップリ浸み混ませた脱脂綿で洗い流すように拭いてから、
レンズクリーニング液と不織布でそっと拭き取りをして仕上げます。

購入してから7年が経ちましたが、今のところ内側を清掃したい状況では
ないので、作業完了です。

さて、前置きが長くなりましたが、今日の本題。
眼の話の続きです。

天体観測の定番ともいえる、懐中電灯に赤いセロハンを被せるのは
なぜでしょうか? というのが昨日の宿題でしたが、
少し考えて頂けたでしょうか?

これまでの解説の中に答えの半分は書いていたので、この部分については
おわかり頂けたかたも多いと思います。

まず、この半分について解説したいと思います。

天体観測中は暗順応した視細胞(特に暗いものを見るのに重要な桿体)を
明順応させないようにすることが重要です。

また、順応は視細胞単位でおこるということを昨日解説しました。

ということは桿体が感じにくくて、錐体には見える波長(色)の光を
使えば桿体の明順応がおこりにくいということになります。

一昨日紹介した「視細胞別の比視感度曲線図」をもう一度ご覧下さい。

 

この図を見れば分かると思いますが、波長が600nmよりも長い赤い光を
つかえば、赤錐体にはよく見えるが、桿体には明るく見えず明順応しにくい
という状況を作り出すことができるわけです。

赤い光だから「目に刺激が少ない」のではなく、視細胞の中の暗闇でよく働く
桿体を刺激しにくいというのが真相です。

でも赤い光を使うのにはもう一つ(残りの半分)のわけがあります。

残りの半分には上の図で青錐体の感度がやけに高いのはなぜかという
謎を解くカギや、人間の眼の進化についての痕跡などを知る重要な秘密も
隠されていますが・・・

少し長くなりました・・・

という訳で明日をお楽しみに・・・

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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