双眼鏡で星空観察入門 (2)

関東甲信越で梅雨明けしたそうですが、全然実感が湧かない天候です。

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スタパ前の畑ではそろそろキャベツが収穫できそうなほどに育っています。

さて「双眼鏡で星空観察入門」、都市伝説の続きです。

1-2. 双眼鏡の都市伝説「双眼鏡は使い方が簡単」

双眼鏡は使い方が簡単だから初心者向けという認識、実はこれも大きな間違いです。

スタパに来るゲストに双眼鏡の使い方の説明をすると、8~9割の方が「初めて使い方を知った」と言われます。

ということは裏を返せば、世の中のほとんどの方が「簡単」といわれる双眼鏡の使い方を知らないということになります。

ご自分で双眼鏡を購入し取扱説明書をよく読んで使いこなしている方以外は、ほとんどの方が使い方を知っているつもりでポンと双眼鏡を渡しても、実は全然ちゃんと見えていないのです。

双眼鏡を使うためには次の4つのステップを行う必要があります。

1) アイカップ調整:覗き始める前にメガネの有無でアイカップの高さを変えます。
2) 目幅調整:自分の目の幅に左右のレンズを合わせる
3) 片眼ピント調整:基準となる方の眼(双眼鏡によって異なるが多くは左目)で対象にピントを合わせる
4) 視度調整:もう片方の眼で視度の差分のピント調整ををする

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双眼鏡をよく知らない方にとっては「なんのこっちゃ」という感じかも知れませんが、この4つのステップを速やかにこなせるようにならないと双眼鏡を使えたことにはなりません。(「なんのこっちゃ」という方向けに後日解説をしますのでご安心下さい。)

慣れれば10秒も掛からない作業ですが、初心者に初めてこの作業をしてもらおうと思っても、真っ暗闇の中で星を対象にして行うのはかなり難易度が高いと言えます。

ちゃんと合わせられなければ、ちゃんと見える可能性は低いので双眼鏡で星を見る楽しさも分からないままになります。

ピントを合わせる(しかも左右別々に)という作業も実はそれほど簡単な作業ではありません。

望遠鏡を覗き慣れた人にとって、片眼をつぶるのは簡単なことなのですが、世の中では意外に片眼づつウインクのできない方がかなりいるのです。

また、ちゃんとピントが合っているがどうか判断できるようになるには少し経験が必要です。

ですから双眼鏡がそこにあれば誰でも使えると思うのは大きな間違いで、使いこなせるようになるまでには少なくとも5~10分の時間としっかりしたレクチャーが必要なのです。
「簡単だから」という理由で「子供のオモチャ代わりに・・」などという方がたまにいるのですが、これも大間違いです。

小さな子供には上記の1)~4)ができないことが多いです。

小さな子供向けに作られていないことが多く、目幅調整が子供向けにの寸法まで狭められない範囲になっていることもあります。

また、油断すると太陽を見ていたりして危険きわまりないです。

望遠鏡は小さな子供が太陽を導入することは(視界が非常に狭いので)難しいですが、双眼鏡は視界が広いので簡単に見ることができ、却って危険度が高いのです。

しっかり言い聞かせて分かる年齢(個人差はありますが小4以上が目安)になるまで子供だけで(特に日のあるうちは)使わせないようにして下さい。

さて、ようやくピントが合ったとして・・・

5~6倍の低倍率の双眼鏡でも「どこを見ているのか分からない」という方がかなりたくさんいます。

昼間の景色なら目で小さく見えているものが拡大されて見えてくるので景色と双眼鏡を見比べながらどこを見ているか把握することはそれほど難しくありません。

でもあまり見慣れていない星空を見た場合、どの範囲が見えているか初心者にはすぐには把握できないことが多いです。

倍率によるスケール感が分からないので、どの方向に双眼鏡が向いているかも把握することができません。

さらに、肉眼で見た星の見え方と、双眼鏡でのそれの差がすぐには把握できないので、方向がちゃんと合っているのに、この星ではないと思ってしまうこともしばしば起こります。

それでも望遠鏡と較べれば難易度は低いですが、正しい使い方を「習い」、実際にある程度は「練習」しないと正しく使えない「道具」であることを忘れてはいけないのです。

双眼鏡は個々人ごとに調整が必要で、それは人任せにできない作業ですので、とてもパーソナルな道具ということができます。

一度自分の眼に合わせた双眼鏡を人に貸すのも精神的に負担になりますし、観察会などで望遠鏡のようにセッティングしたら、あとは「さあどうぞ」というわけにも行かない結構厄介な道具であるとも言えます。

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そんな事もあってスタパではゲスト1人に1台の双眼鏡が貸し出せるよう以前から望遠鏡以上にたくさんの双眼鏡をご用意しています。

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双眼鏡で星空観察入門 (1)

今日は北杜市内は明野の名物「ヒマワリ畑」見てきました。

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なかなかきれいに咲いている部分はあるのですが・・・・

以前は周辺のヒマワリ畑が一斉に咲いてとてもきれいだった気がするのですが、最近はどうもショボい感じがします。

ヒマワリ畑で少しでも長い期間に観光客を呼ぶためにヒマワリが咲く時期を畑ごとにずらしているようです。

なので以前のように辺り一面という感じではなく、ここは満開だけど、隣はまだまだ、その先は少し盛りが過ぎたね・・・・という感じで商売っ気が見え見えであまりお奨めしたいスポットではなくなってしまいました。

さて気を取り直して・・・・  「双眼鏡で星空観察入門」本編の始まりです。

1. 双眼鏡に関する都市伝説

もっと、もっとたくさんの方に双眼鏡で星を見る楽しさを知ってもらいたいと思うのですが、どうもその楽しさを広げるパワーが弱いというか、なかなかその楽しさの輪が広がらないという気がします。

双眼鏡で星空を楽しむという行為が広がるのを阻害する大きな要因としては、双眼鏡に関する都市伝説とも言える間違った認識が未だに横行していること。

そして双眼鏡で星を楽しむためのソフトウエアの部分の充実に圧倒的な不足があるためではないかと考えています。

ここではその「楽しみの輪」広げるのを阻害している「都市伝説」についていくつか紹介したいと思います。

1-1. 双眼鏡の都市伝説「双眼鏡は天文趣味の入門用という認識」

よく双眼鏡は「天文趣味の入門用に向いている」とか、人によっては「望遠鏡を買う
前に双眼鏡を買ったほうがよい」などと奨めることがあります。

でも私個人としては、この考え方には全く賛同できないでいます。

これにはいくつか理由があるのですが・・・・、

まず第一に、

双眼鏡と望遠鏡というのは(光学的には似たようなものですが)見え方や使い方は全く別の世界のものであり同次元で比較すべき機材ではないということです。
(倍率の高い双眼鏡と、倍率の低い望遠鏡とでは被る部分もありますが、ここでは原則として双眼鏡は10倍前後以下の低倍率、望遠鏡は30倍以上の高倍率を担当する機器だという定義で話を進めます。)

初心者はとにかく望遠鏡を買って、月のクレーターや土星の輪が見たいと思っている方が多いです。

でも月や土星に関して言えば、高級な双眼鏡よりも1万円クラスの出来の良い(例えばラプトル50のような)入門用望遠鏡の方がはるかによく見えるものです。

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そんな方に双眼鏡を進めても(そりゃぁ双眼鏡でも月のクレーターくらいは見えるでしょうけれど)、何とも物足りないものに思えて使い道に困る機材になってしまいます。

国内では人口のほとんどが天の川の見えない都会地で生活しています。

その環境において双眼鏡で楽しめる天体がどれほどあるのかを考えると、かなり無理があると思います。

双眼鏡は使い方が簡単で、直感的に使えるから(後述しますが実はそうでもないのです)と軽い気持ちで奨めるのは、天文マニアの思い込みのような気がしてならないのです。

もちろん天の川が肉眼でクッキリ見えるような晩に双眼鏡でそれを眺めたら、それはもう素晴らしい体験になるのですが、都会地に住む初心者がその環境に出会うためには、相当の強い意志と運に恵まれる必要があるのです。

天の川に出会うために、天の川が良く見えそうなローケーションを探して、月齢を考慮してお休みをとって、透明度の良い好天の晩に出会う、といった綿密な努力と好天に恵まれる運が無ければ実現しません。

もしもあなたがわりと普通に天の川を見ることのできる地域にお住まいなら、迷うこと無く双眼鏡を購入されると良いと思いますが、都会にお住まいなら双眼鏡より少し難易度は高いですが望遠鏡を購入した方が良いです。

多少使い方は難しくても、自宅でも月のクレーターや土星の輪がコンスタントに観察でき、スマホでも簡単に月の写真ぐらいは撮れてしまうお手軽望遠鏡の方が私はお奨めだと思うのです。

私が天文初心者に気楽に双眼鏡の購入を勧められない第二の理由は・・・

具体的に「何を、どんなふうに見て楽しむか?」といったソフトウエアの部分の圧倒的な不足です。

双眼鏡で星を見るのにどんな機種がよいとか、どんな アクセサリーを使ったら良いとかといったハード解説は、書籍にしても、ネット上にしてもそこそこ充実していて多く見つけることができます。

ただこれにしても双眼鏡の構造や種類の説明が主体で、全くの初心者のことを考えた使いかたの説明が不十分であったり、本当に肝心な使い方のところは結局よく分からない内容のものが多いです。

双眼鏡向けと謳われている、きれいな写真とともに様々な天体が紹介されている本もあります。

でも本の内容をよく見ると「○○は双眼鏡でも存在がわかる」とか、「××は双眼鏡では厳しい・・」といったような表現が多く、双眼鏡向けと書かれているわりには双眼鏡で見て楽しいと思える天体の紹介はごくわずかです。

初心者向けといわれるメシエ天体も双眼鏡ではほとんどが存在がかろうじて分かるというレベルで、楽しめるレベルの天体は本当に限られていて、双眼鏡で楽しめるレベルは110番までのメシエ天体の1割程度です。(微かに見えるだけでも楽しいという方はいるのでこの辺は個人差があると思いますが・・・)

どうも日本人というのは真面目すぎる性格が災いするのか、天体と言えば星雲・星団、月・惑星、近接二重星とハードルの高い対象がギリギリ見えたとか見えなかったとかの議論に固執したり、それを写真に撮ったりすることが偉いという傾向が強すぎるように思います。

双眼鏡を使って星を見るための入門書もその傾向をそのまま踏襲していて、双眼鏡で見ても面白くない対象にたくさんのページが割り当てられています。

双眼鏡で見るとこの程度ですが・・・

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大きな望遠鏡で見るとこんなふうに見えます

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なんて書いてあることもあります。(写真はへび座のM5です。)

まさに星を見るための「修行」を(この難行・苦行の先に天文マニアへの道が開けているのですと)強制しているように思えてなりません。

良く見えない対象をたくさん紹介して、まるでもっと高性能な望遠鏡を買って見て下さいと暗示しているかのようで、望遠鏡メーカーの陰謀なのでは?と勘ぐりたくなるほどです。

まあ冗談はさておき、初心者に双眼鏡を奨めるというのは、たとえが悪いかも知れませんがiPhoneが欲しいという人に、まだアプリの充実していないWindowsPhoneを奨めるようなものだという気がするのです。

初心者だからと安易に双眼鏡を奨めるのではなく、その人が何を望んでいるかを良く確かめてから、上記のような双眼鏡を取り巻く環境を考慮したうえで何を奨めるか考える必要があると思うのです。

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双眼鏡で星空観察入門 - 序 -

今日は朝から雨降り。

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午後には一度上がりましたが夜にはまた本降り。

この時期にしてはとても涼しくて、半袖ではいられないほどでした。

さて、「双眼鏡で星空観察入門」シリーズを開始すると予告はしたものの、書きたいことがたくさんありすぎて、頭の整理がつかず、何から書いたら良いかわからないまま夜が更けてしまいました。

なので、まずは「なぜ」このシリーズを立ち上げるのかを「序」として記しておきます。

双眼鏡で星空を眺めるのは本当に楽しいです。

もちろん空の条件や、個人の感じ方の差はあるのですが、良く晴れた日に天の川や様々な星たちを眺めていると、今さらながらに「ああ、なんてきれいなんだろう・・・」と涙目になることが何度もあるほどです。(歳のせいか涙腺がゆるんできたのかも知れませんが・・・)

でも私自身、長年星を見ることを趣味にしてきたのに、その楽しみ方に気付いたのはわりと最近、スタパを開業してからのことです。

「今まで自分は何を見ていたんだ」と情けなく感じたり、これまでの時間を「もったいないなぁ・・」と思う反面、「こんなにきれいなものに出会えるこの趣味を続けていて本当に良かった」とも感じています。

そんな思いから旧「双眼鏡で星空を楽しむ」シリーズは少しでもたくさんの方に双眼鏡で星空を楽しむことを広めたいと考え、かなりの長いあいだ連載をしました。

あれから5年、ことあるごとに双眼鏡で星を見る楽しさを啓蒙する気持ちはあるのですが、散発的で、内容もバラバラで、真面目に啓蒙活動をしてきたとはいえない状況でした。

周りを見回しても・・・
新しい双眼鏡向けの天文書籍が出た噂を聞きませんし、本当に星空観察のことを考えて作られた製品(双眼鏡そのものもそうですが、それ以外の周辺グッズ)がドンドン出てきたりということもありません。

双眼鏡で星を見るのが楽しい!!・・・という方にもそれほどたくさん出会うことはありません。

「もったいない!」という気持ちからもっと、もっとたくさんの方に「双眼鏡で星を見てヨカッタ!!」と感じていただけたらと考え、もう一度シリーズを立ち上げることにしました。

スタパの貸出用双眼鏡

スタパの貸出用双眼鏡(約30台)

かなり長いシリーズになると思いますが、気楽にお付き合い下さい。

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新・双眼鏡で星空を楽しむ (予告)

今日も梅雨明けはまだのようです。

夏休み体勢になって1週間以上が経過しましたが、晴れなくて本当に困ったものです。

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それでも一歩森の中に入ると、梅雨明けを待ちきれないセミたちが大合唱のセミ時雨。

写真では音が伝えられないのが残念です。

さて、星空写真の入門シリーズが終わったので、この先新シリーズを連載して行きたいと思います。

「双眼鏡で星空を楽しむ」シリーズは2011年5月から10ヶ月くらいかけで67回も連載したこのブログでも最大のシリーズです。

今読み返すと「良くやったなぁ~・・」と思う部分も多いですが、シリーズとしては走りながら作っていった部分が多いこともあり、話があちこちに飛んだり、偏った内容の部分も多々あります。

前回、言い足りなかった部分や別記事として分散した双眼鏡関連記事をリメイクしつつ、ひとつにシリーズ化して読みやすくしたいと前々から考えていました。

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前回の開始から5年以上が経過していることや、スタパの双眼鏡関連機材も当時よりもかなりグレードアップしていますので、今が潮時かと考え「新」シリーズとして「双眼鏡で星空観察」に取り組むことにしました。

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基本の部分は旧シリーズのリメイクとしつつ、行き当たりばったり的な旧シリーズよりも補足を加えつつ体系的に話を進めて行きたいと思います。

双眼鏡を使った星空の楽しみ方を、じっくり、たっぷり解説して行きたいと思います。

実はマニアと言えるレベルの天文ファンでも意外と双眼鏡で星空を眺める楽しさを「良く」知っているかたは少ないような気がしています。

私自身、旧シリーズを連載するうちに双眼鏡で星空を眺める時間が長くなって初めて双眼鏡で星空を眺める楽しさが分かったのです。

もちろん楽しみ方は人それぞれですし、双眼鏡が性に合わない方もあるので、あくまでも「そんな楽しみ方もあるのね・・・」くらいに読み飛ばして頂いて構いません。

もちろん少しでも参考になるならこんなに嬉しいことは無いですが・・・・

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星景写真入門 その14

今日も昼間は青空が広がり夜が楽しみな天気だったのですが・・・・

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さていよいよ今日は「星景写真入門」の最終回です。

6.星空撮影の処理

6-1. 画像処理ソフトについて

初めて星空の元で撮った写真はどんな出来だったでしょうか?

思いのほか良く撮れてホクホクしたかたもあれば、うまく撮れなくて残念!、という方もあるでしょう。

写った画像をPCで見ていると、もう少しの方はもちろん、良く撮れたかたでも「もう少しスッキリ写ってくれたら」とか「少し赤く写りすぎた・・」などだんだん不満が出てきたりします。

本シリーズの冒頭のところでも書いたのですが、実は天体写真の場合はカメラがはき出したデータをそのまま使うことはわりと少なく、何らかの画像処理を施すことが多いです。

画像処理というと何だか難しそうですが「薄化粧」程度の処理なら慣れればものの1分もあればできるようになります。

画像処理のソフトはいざ使おうと思うとたくさんありすぎてどれを使って良いか分からないかも知れません。

使い慣れたものがあればそれを使えば良いですし、使ったことが無ければデジカメを買ったときに付属してきた画像処理ソフト(ある一定以上のレベルのデジカメには付属のCD-ROMに入っていることが多いです)を使えば良いです。

私が普段簡単な画像処理や画像管理に使っているソフトは「XnView」というフリーウエア(無料)のソフトです。

「XnView」は500種類以上の画像ファイルを表示できる画像ビューワーで、フォルダの画像をサムネイルとプレビューペインで表示することができます。

画像のリサイズ、トリミング、明るさ等の調整や画像形式の変換などを行うことができますので、私が普段ブログに上げている写真のほとんどはこのソフトで処理しています。

OSはWindows 8.1ベースですがWindows 7/10でも同様に問題無く使えます。

とても軽くてサクッと立ち上がり、サクサク動いてくれるのと、変な宣伝や「有料版にアップグレードしろ」などとうるさいことを言わないわりに高機能なので気に入って使っています。

特にこれといったソフトがない場合にはお奨めのソフトです。

文字入れや作図(矢印を入れるなど)、画像の合成・組合わせなどは得意ではないのでそういった処理は別のソフトが必要になる場合があります。

ダウンロードの仕方や使い方はネットで検索するとたくさん出てきますが、こちらを参考にされると良いでしょう。
http://www.kananet.com/freesoft-xnview.html

6-2. 簡単な画像処理

ここでは「XnView」を例に実際に簡単な画像処理をして見ます。

下は昨日ご覧に入れた星空の写真です。

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「XnView」で開き、「明るさ・コントラスト・ガンマ調整」のアイコンをクリックします。

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「画像修正」ウインドウで「明るさ」と「コントラスト」のスライダーを少しずつ上げてみて下さい。(ここでは明るさ:26、コントラスト:50に設定しています。)

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でできあがった画像がこちら

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いかがでしょう?

好みの問題はあるかも知れませんが、たったこれだけの操作で劇的に見栄えが良くなっているのがわかると思います。

赤味や青味もこのウインドウで調整ができるので必要に応じて調節してみて下さい。

画像処理の世界は、これまたとても奥が深くて、どこまで行っても正解にたどり着けないような気がしますので、本シリーズでの解説はここまでとします。

さてさて、予想外に長いシリーズになってしまいましたが「星空写真入門」は以上です。

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星景写真入門 その13

今日は久々といった感じで少し日射しが見られました。。

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梅雨明けはまだなのかなぁ・・・

さて今日も「星景写真入門」が続きます。

5.星空撮影の実際

5-2. 撮影開始までの準備(の続き)
7) プレビューする

露光(&長秒露光補正)が終わったら、プレビューボタンを押して撮れた画像をビューファインダーで確認します。

構図が狙いどおりか、露光量が適正かどうか、空の色が不自然で無いか?

拡大してピントが合っているか、ぶれていないか、星の日周運動による動きやノイズが許せる範囲か?

などを確認します。

撮影現場でこれらを冷静にチェックするのは結構難しく、慣れがいるかも知れないのですが、できるだけ客観的に確認するようにしましょう。

また、一般にビューファインダーに表示されるプレビュー画面はPCに取り込んでから再生したときよりもかなり鮮やかに表示されることが多いです。

プレビューをみて「凄ッく良く写ったぁ~!!」とニンマリしても、あとでPCで見るとガッカリなんてことがかなりあります。

露光量が適正かどうかを判断する手法としてプレビュー画面でヒストグラムを表示させる機能を持つデジカメが多いです。

ヒストグラムというのは画面内にどの明るさのものがどのくらいあるかを示すグラフで、横軸が明るさ、縦軸がその明るさに対する画素数(またはその比率)を示します。

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ヒストグラムの山が左に寄っていると全体に暗い(黒の部分が多い)イメージで、右に寄っていると明るい(白っぽい)イメージとなります。

天体写真の場合、一般には中央と左側の中間くらいに山のピークがあるような画像が適正露光といわれています。

下の画像はやや暗めです。

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これをプレビューしてみると

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山がかなり左側に貼り付いた感じがするので、露出アンダーと判断できます。

上より多めに露光した画像が下です。

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こちらのプレビュー画面を見ると

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一つの山のピークがほぼ左から4分の1のところにあります。

左に貼り付いた山がありますが、これは木立の暗い影の部分を示しているので、空だけを写すとか、月夜で風景も見えているとかでない限り無くならない部分です。

作風というか好みの部分もあるので、どれが正解ということもないのですが、ひとつの判断方法として使えば良いと思います。

少し長くなりましたが、実際には慣れてしまえばプレビューして瞬時にこららの確認ができます。

確認結果がOKであれば、他の構図で撮ることも考えます。(例えば縦構図にするとか、地上の比率を小さくするとか)

NGであれば露光条件を変えたり、NGな理由を無くする(または軽減する)方法を検討して取り直しをします。

デジタルですから結果を見ながら納得の行く画像が得られるまで、撮り直して見ましょう。

以上が星空の写真を撮影するまでの流れです。

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星景写真入門 その12

今日はとても涼しい、でもスッキリしない天候の一日でした。

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さてまだまだ「星景写真入門」が続きます。

5.星空撮影の実際(の続き)

さて「5-1. 撮影までの準備」で全ての準備は完了したので、実際の撮影に臨みます。

5-2. 撮影開始までの準備

機材の準備を全て終え、カメラを載せた三脚を担いでその他の必要な機材も持って外に出たところからの流れを列記して行きます。

1) ロケーション探し

自分が撮りたいと思う星空、風景が見える場所を探します。

特に意図がない限り、写野の中にできるだけ人工の光(外灯など)が入らない場所を選びます。(都市星景の場合はこの限りではないですが・・・)

三脚を置区場所をほんの数十センチ動かしたただけでも、がらりと印象が変わるときがあるので、面倒がらずに三脚の位置決めをして下さい。

2) 三脚の設置

だいたいの位置決めが決まったら(微調整はあとでよい)、三脚を充分に安定する角度まで開いて置きます。

前にも説明したようにブレによる失敗を極力減らすため、構図上問題のない範囲で、三脚はできるだけ延ばさず、最小限の高さにします。

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傾斜地などではカメラの水平が出ていないとあとで構図をとるときに苦労することがあるので、各脚の長さでなるべく水平になるように調節します。

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3) カメラ設定の最終確認

撮影に入る前にカメラの各種設定の最終確認をします。

・マニュアル露光モード
・マニュアルフォーカスモード
・シャッタースピード(30秒)
・F値(F3.5)
・ISO感度(3200)
・長秒露光補正ON
・カメラによってリモコンスイッチ使用モード
・液晶画面の明るさ(例えば暗め)
・画質モード(できるだけRAW+JPGを推奨)
・ホワイトバランス(オート)

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明るいところで設定しているはずですが、上記S・F・Iの設定はとりあえず天の川を写すための設定ですので、月明かりがある場合は都会地での撮影の場合は臨機応変に露光量が小さくなるように(例えばS=10”、F=5.6、I=800など)設定します。

4) ピント合わせ

ピント合わせの手順は以下のようにします。

・(一眼レフタイプの場合は)ファインダーを直接覗き、その場で見える一番明るい星を中心付近に捉えます。

・ファインダーで見えない場合はだいたいカメラがその方向に向くようにします。

・カメラのライブビュー機能をオンにして、中央付近にあるはずの明るい星を見つけてピントを合わせる。

・ピント合わせのコツ次のようにします。
始は少しラフにピントリングを回してだいたいピントの合っているところを探す
→ ピントリングを0.1mmきざみに回す感じでピントを追い込んで行く
→ 明るい星が一番小さく見え、周りに暗い星も見えるくらいまで追い込んだらそっと手を離す
→ ピントリングが動かないようにそっとテープで固定する
→ テープ止めしてから再度ピントがずれていないか確認する
(ピント合わせをカメラのソフトで行うタイプや、ピントを無限遠に設定できるカメラの場合はその設定で行います。)

露避けヒーターを用意している場合は、ピント合わせの後ヒーターを装着し、必要に応じヒーターの電源を入れます。

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ピント合わせがしっかりできていないとどんなに良い写真が撮れても後で大きく延ばすことができません。(SNSに掲載するレベルなら何とかなる場合もありますが・・・)

撮影の途中でも時々チェックするくらいの細心の注意を払うクセをつけて下さい。
(写した画像を強拡大でレビューすればよいです)

5) 構図合わせ

ピント合わせが済んだら、写したいと思う方向にカメラを向けて、しっかり固定します。
特別な意図がない限り、カメラの横方向が水平になるようにします。
(カメラに水準器が内蔵している場合はそれを参考にします。ない場合は地平線など景色とカメラを見ながら水平だしをします。)

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傾斜地などでの撮影ではカメラを水準器で水平にしたつもりでも撮影後にレビューすると違和感を感じる場合があります。

こんな場合は機械的な水平にこだわるか、構図上の見た目にこだわるかは自分の感性で決めて良いと思います。(正解は無いです。)

6) 撮る!!

ここまで来ればあとはシャッターを押すだけです。

もちろんリモコンがあればリモコンを使いましょう。

有線リモコンの場合、リモコンの操作時に引っ張ったり乱暴に扱ってカメラがブレないように注意を払います。

リモコンがない場合はカメラのセルフタイマー機能を使います。

最近のデジカメはタイマーの遅延時間を10秒と2秒といったように選べるようになっているものが多いですが、その場合は短い方(2秒)でOKです。

さあ撮りましょう!!

長秒露光補正をONにしている場合は、露光時間が過ぎてシャッターが閉じた後も露光時間と同じだけカメラが「BIJIY」状態になり、操作を受け付けなくなりますが焦らずに待ちましょう。

さあ、思い通りの星空の写真が撮れたでしょうか?

文章で書くと随分長い道のりのようですが、慣れれば「ここで撮ろう」と三脚を置いてから3分もあればここまでの作業は終わります。(続く)

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星景写真入門 その11

今日も暑い一日、でもスッキリしない天候でした。

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まだまだ「星景写真入門」が続きます。

5.星空撮影の実際

さあ、これまで解説したことを理解したらあとは実践あるのみ。

実際の撮影に臨みましょう。
5-1. 撮影までの準備

撮影までの準備をチェックリスト代わりに列記します。

1)機材の用意

カメラ(カメラレンズ、フード、フィルター、予備バッテリー)、三脚、リモコンスイッチ、ピント固定用テープ、ハンドライト、屋外用シートor座布団、露避けヒーター、etc.

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2)カメラの設定

屋外に出てからでも良いですが、できれば明るい部屋の中でこれから撮影するであろう対象を想定した設定をしておいた方が外へ出てからまごつかずに済みます。

マニュアル露光モード、マニュアルフォーカスモード、シャッタースピード(例えば30秒)、F値(例えばF3.5)、ISO感度(例えば3200)、長秒露光補正ON、カメラによってリモコンスイッチ使用モード、液晶画面の明るさ(例えば暗め)、画質モード(できるだけRAW+JPGを推奨します)

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忘れがちですがこのときにカメラの内蔵時計の時刻を正確に合わせるクセをつけて下さい。(もしも大火球などが写ったとき、あとでとても大事な科学データになります。)

ホワイトバランスは好みの問題もあるのですが、「オート」か「太陽」にしておけばよいです。
(RAWデータがあればあとからどのようにも変化させることが可能です。)

3)カメラ+三脚などの事前準備

これも屋外に出てからでも良いですが、慣れないと暗い中でカメラを三脚に取り付けるのに苦労するときがあります。

着けたつもりが完全でなくカメラを落としてしまうこともあります。

三脚にしっかり固定し、リモコンスイッチなども取り付けましょう。

リモコンスイッチやストラップがブラついて邪魔になりそうなときはピント固定用テープで固定してしまうのも手です。

カメラにはフードがあれば取り付けます。

また用いる場合はフィルターも取り付けます。

室内、または明るい場所でできることはできるだけ先に済ませておきましょう。

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以上で準備完了!

さあ外へ出て撮影を始めましょう!!

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星景写真入門 その10

今日もトンボが乱舞する暑い一日でした。

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「星景写真入門」が続きます。

4. 露光量の調節

4-4. S・F・Iの三角関係

これまで解説したように露光量の調節には、シャッタースピード(S)、F値(F)、ISO感度(I)の3つの要素があります。

どれかの露光量を下げても、どれかを多くすれば全体での露光量は同じことになります。

例えば・・

S=10sec F=2.8 I=1600 という露光量に対して以下の組み合わせは全て同じ露光量となります。

S=20sec F=4.0 I=1600
S=40sec F=4.0 I=800
S=5sec F=2.0 I=1600
S=5sec F=2.8 I=3200
S=5sec F=5.6 I=6400

はじめはとてもややこしいと感じるかも知れませんが、慣れれば直感的に分かるようになります。(これは組み合わせのごく一例です。)

このS・F・Iをどの値にしたらよいかというのは、それぞれの増減により様々な得失が生じるので、実はかなり悩ましい問題です。

それぞれの相関関係を図で示すと下のような「三角関係」にあることが分かります。

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まさにあちらを立てればこちらが立たずと言った関係といえ、一概に「これが正解」という組み合わせを決めることができません。

得られた画像の使用目的によって設定を変える必要があります。

例えばSNSで見せられれば十分という場合ならISO感度をかなり高くしてもよいでしょうが、大きく引き伸ばして印刷したい場合は画像が荒れないように感度を下げなければいけません。

自分の機材のシステムでどのように写るのかを経験的に把握して行くしかありません。

ただフィルム時代ですと試し撮りをして結果が出るまでに時間が掛かるのでとてもたいへんだったのですが、デジタルですのでその場でドンドン試し撮りをして、納得の行く結果を見つけることができますので、あまり構えることもありません。

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星景写真入門 その9

今日も暑い一日でした。

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日中にはトンボが乱舞し、夕刻にはヒグラシの?時雨が聞こえる暑い一日でした。

さて「星景写真入門」の続きです。

4. 露光量の調節

4-3. ISO感度

露光量の調節にはシャッタースピードとF値のように受光素子に入射する光の量を変化させる方法に加え、もう一つ、受光素子の感度そのものを変える方法があります。

人間の眼も虹彩(こうさい)というカメラの絞りに相当する部品がありますが、それだけでは昼間と夜の明るさの差を吸収することができないので、光を感じる網膜細胞自体の感度を変えることにより明暗の差に対応しています。

カメラの場合、フィルム時代の感度の考え方がそのまま踏襲されていて、ISO(=国際標準化機構)で定めている「ISO感度」が用いられます。

ところで「ISO」のことを「イソ」と読む人が多いのですが、そう発音するのは日本だけだそうで国際的にはそのまま「アイ・エス・オー」と読むことが多いようです。

実際の規格作成現場でどうしても略したいときは「アイソ」発音するのが一般的だそうです。

さてISO感度は数値が大きいほど感度が高くなります。

160719ISO

ISO感度の数値が2倍になればシャッタースピードは2分の1で同じ露光量になります。

ですからISO感度が高ければ高いほど、短いシャッタースピードで星を写すことができるので、星が日周運動で流れたり、風でぶれたりという心配が少なくなります。

さらに短時間でたくさんのカットを撮ることができるのでとても効率が良いです。(冬には寒い中で長時間待たずに済むのでとても楽です。)

ただ、感度が高ければ高いほど、得られる画像は画質が低下したり、ノイズがたくさん写り込んだりというデメリットも発生します。

下はISO25600/4secの画像

160719seikei25600_4sec_0303

次にISO1600/65secの画像(いずれも自動追尾の撮って出し画像、リサイズのみ)です。

160719seikei1600_65sec_0307

このサイズだとほとんど差が分からないですね。

SNSに上げるレベルのクォリティーで良ければカメラの最高感度でも何とか使えそうです。

でも北斗七星のミザールの部分(煙突の右上の星)を拡大して並べると・・

160719kandohikaku

露光量は同じで明るい星の写り方はあまり違いがないのに、微光星の写り方全然違います。

私のカメラ(Eos6D)の特性なのかも知れないのですが、建物部分の写りにそれほど違いがなかったのにこの違いはちょっとビックリでした。

25600の画像では全体にざらついた感じがして、ノイズの中に微光星が飲み込まれている感じがします。

上の画像はいずれも撮って出しでリサイズ以外の画像処理をしていないのですが、25600の方は少しでも画像を強調するような処理をかけると途端に画像が荒れてしまい、画像処理耐性が全然ない感じがします。

使用するカメラによってもこの辺の画像の状態はかなり異なると思いますので、実際にいろいろ撮り較べてみないと結論は出ないと思います。

少しややこしいのは、周囲の気温によってもノイズの出かたが変わります。
(寒いほどノイズが出にくい)

ので、夏と冬でもこの辺の設定を変えなければいけないこともあります。

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