今日は10月10日、体育の日。
晴れの特異日ということになっていますが・・・・、
昼間はまあまあの天気だったのには夜は曇ってしまいました。
さて「望遠鏡光学」シリーズ少し前後しましたが、倍率についての続きです。
6.倍率について考える4
6-5. 倍率とは何か
これまで倍率について解説してきたのですが、そもそも倍率とは何か、
また、倍率の計算はなぜ
倍率 = 望遠鏡の焦点距離 ÷ アイピースの焦点距離 (式-1)
という計算式で求められるのかという根本的な解説をしていませんでした。
深く追求すると高等な数学の知識が必要になって、私などのような一般人には理解不能です。
でも、無限遠にある(と見なせる)ものを無限遠を見るように調整した眼で見るという前提で考えると意外に簡単な比例の問題として理解することが できます。
パート2では倍率について原理的な部分を少し掘り下げて考えたいと思います。
まず倍率とは何かですが、これは単純に「見かけの大きさ(角度)」がもとの(光学系を通さない)ものの何倍かという比率です。
たとえば見かけの角度10度のものが20度になって見えたら、倍率は2倍ということになります。(厳密には立体角という高等数学の概念が必要ですがここでは無視します。)
次に望遠鏡での倍率ですが、まず話を簡単にするために1倍の望遠鏡について考えたいと思います。
1倍ということは望遠鏡無しで見たときの見かけの角度(θ1)と望遠鏡を通して見たときの見かけの角度(θ2)が同じ(=)ということです。
また倍率の計算式(式-1)からも分かるように、「望遠鏡(対物)の焦点距離」と「接眼レンズの焦点距離」も同じ(=)ということになり、像までの距離はどちらもレンズの焦点距離と同じです。
倍率を上げるためには対物レンズの焦点距離を長くして像を大きくする方法と接眼レンズの焦点距離を短くする方法が考えられますが、ここでは後者(接眼の焦点を短くする)を考えます。
接眼レンズの焦点距離を1倍のときの2分の1の長さにすると、対物レンズの像を2分の1の距離で見ることができます。(ここがキモです。)
2分の1の距離で見るということは2倍の大きさ(つまりθ2=θ1×2)になり、倍率2倍ということになります。
さらに、接眼レンズの焦点距離が対物レンズの3分の1なら3倍、100分の1なら100倍になります。
要するに、接眼レンズという虫眼鏡で、どこまで焦点像に近づいてみるか、単純に対物と接眼の焦点距離の比率で倍率が決まるというわけで、上記の「式-1」が成り立つことになります。