今日は曇りのち雨。
昨日よりも少し涼しいですが、湿度は高いままです。
さて貸出望遠鏡シリーズが続きます。
☆貸出用望遠鏡No9:セレストロン C5(D=127,f=1250 シュミカセ)
セレストロンがラインナップするシュミカセ(シュミットカセグレイン)の最小口径バージョンです。
詳しいレビューは下のリンクをご覧頂くとして、良くも悪くもシュミカセそのものです。
(「セレストロンC5(CELESTRON C5)がやって来た」シリーズ)
口径が127mmもあるのに専用ケースに入れて気楽に持ち運べるし、写真のように少し大きめなカメラ三脚があれば充分運用可能です。
トイグレードに近い小型赤道儀に載せても充分使えます。
性能面ではシュミカセの欠点が色濃く出ます。
まずシュミカセならではの筒内気流の影響が少なからずあります。
口径200mmクラス以上のシュミカセに較べれば体積がとても小さいので温度順応は早いはずですが、主鏡(レンズ)が鏡筒先端にあり外気に直接触れている屈折と較べれば、筒内気流が治まるまでの時間は十分確保する必要があります。
口径比がF10と低倍率を出しにくいのも遠征用として星の綺麗な場所で使うのには少し魅力に欠けます。
高倍率についても口径127mmと思って使うと少しガッカリします。
80mmクラスの出来の良い屈折と較べると、集光力は勝るけれど、それ以外はそれほどでもない感じだと思って使えば、取り回しの良さで納得できるレベルと思います。
(感じ方は個人差が大きいので、あくまでも私の感覚的意見ですので・・・・)
得失を理解して使えば楽しい望遠鏡だと思います。
☆貸出用望遠鏡No10:笠井トレーディング Pico8(D80,f=900 マクカセ)
笠井トレーディング製超小型マクカセ(マクストフカセグレイン)です。
こちらもレビューはこちらをご覧頂ければと思います。
カバンに入るほど小さくて気楽に使える80mmです。
ただマクカセやシュミカセの場合、構造的に接眼部近くに遮光筒という部品が必須なのですが、口径が小さくなるほどこの遮光筒が細くしなければなりません。
しかし接眼レンズの径より細くしてしまうとケラレが生じてしまい口径を活かすことが出来なくなるという問題が生じます。
遮光筒を細く作ろうとすると内部反射による迷光の処理が不十分となり、結果コントラストの低い像しか得られないという問題が生じます。
そういった意味でこの望遠鏡は「悪い見本」に近い物です。
口径80mmと思って使うとかなりガッカリします。
それでも全然見えないかというとそうでもなく、望遠鏡として月や土星の輪をみて楽しむのに困るというわけでもありません。
運用のしやすさと見え味のトレードオフを考えると微妙な立ち位置にいる感じです。
個人的にはこれはこれで「あり」と思っていますが・・・
今回紹介したシュミカセ、マクカセについてガッカリするなどいろいろマイナスなことを書いているのですが、個人的にはシュミカセ・マクカセが大好きです。
望遠鏡は口径こそ命と思う反面、小ささこそ正義という思いがあるからです。
どんなに偉そうに性能の良さを誇ったところで、重くて大きな望遠鏡は(据え付けをしない限り)気楽に運用することができず、使用頻度が下がります。
ポン・パッ・サッ(ポンと出して、パッと見て、サッとしまう)ができるのほうが使用頻度が高くなるし、チャンスを逃さないのです。
人によって感性は違うので一概には言えないのですが、出し入れに苦痛を感じない範囲で最大の口径が得られるのがシュミカセ・マクカセというわけだからです。
オーナー様、度々登場してもうしわけありません。
カタディオ系反射というのは、やはり小口径は難しいですね。私もいろいろ使いましたが惑星などの高倍率性能だけに着眼した場合、口径が20cmを超えないと満足できるものにはなかなかならないように思います。15cmくらいまでだと遮蔽も必然的に大きくならざるを得ないとか、構造的に作りにくさもあろうかと思います。
おっしゃる通り小口径カタディオの最大の利点がコンパクトであることですが、ベランダにはぱっと出せてもそこから順応するまでにそこそこ時間がかかるというのが、難点ですね。
順応という点では8cmぐらいのアクロマート屈折はセッティングと同時に観望できますので、有利です。しかし長いのでベランダ観望には少々使い勝手が悪い。
こうやって考えて行くと全てを同時に満たす望遠鏡はないという結論に達してしまうようで、カオス状態に陥ります。特に最近の私のようなベランダ観望派には機種の選択が非常に難しいなあといつも感じています。
小澤さま
全くその通りで、なかなかオールマイティな望遠鏡はありませんね。
それぞれの目的や価値観でチョイスして行くしかないのでしょうね。
温度順応に時間が掛かるとしても、ベランダへの出し入れが容易であると感じられる機種ならハードルがさがるので、その意味で小口径カタディオ系の選択もありと思うのです。