SVBONYのフィールドスコープSV406Pを使う その2

今日はドンヨリ曇り空。

午後から結構本気の雪が降りました。

さて昨日に続きSVBONYのフィールドスコープSV406Pのレビューを続けます。

多くの人が何より気になるのはその「見え味」だと思います。

アクロマート式のフィールドスコープや望遠鏡、EDアポ屈折との比較を昼間の景色で行いました。

まずはアクロマート式のフィールドスコープ(廉価版)との比較ですが、これはもう圧倒的にSV406Pの勝利です。

視野の明るさ、抜けの良さ、色収差の少なさなど廉価版のフィールドスコープにはもう手が出なくなりそうです。

口径80mm/f400mmのアクロマート屈折に正立45°プリズムを付けて比較したところ、これも明るさや、抜けの良さ、色収差の少なさなどSV406Pが優れていました。

さらに66mm/f388mmのSDアポ屈折(高反射天頂ミラーつき)と比較したところ、抜けの良さはややSDアポが勝り、色収差は同等といった感じになりました。
(SV406Pの見え味が悪いというわけでは無く、じっくり無較べて分かる程度です。)

SV406Pをスコープテック社の架台「ゼロ」に搭載して、様々な天体を観察してみました。(台座が回転式なので片持ち式の「ゼロ」でも問題無く使用できます。)

最低倍率が20倍(実視界2.1°)というのは絶妙な倍率で「だいたいこのあたり」とかなり気を使って導入を試みると、視野に捉えられるギリギリの倍率のような気がします。

これより視野が狭い(=倍率が高い)となかなか導入ができずストレスがたまりそうですが、なんとかなる倍率です。(広視界の接眼レンズに換装すればもう少し楽になるのでしょうが・・・)

そしてこの視野角では、スバルが、オリオンの大星雲を含む小三つ星が、アンドロメダ銀河が、二重星団(h-χ)がスッポリ視野に収まります。

オリオン大星雲は60倍までズームするとトラペジウム(4重星)がハッキリ見えます。

二重星団は60倍にズームアップするとバックグランドが暗くなり、微光星がグッと浮き上がってきます。

接眼レンズを交換しながら見るときと違って、この辺の見え方の変化がシームレスに見られるのがズーム式接眼レンズの醍醐味だと思います。

高倍率寄りの天体望遠鏡を使うときは、どうしても広視界の接眼レンズを用いて導入を容易にしたり、高倍率でも広い視界を確保したいとう気持ちが働きます。

しかし低倍率スタートのフィールドスコープでは必要に応じて接眼レンズを交換というスタイルより、オールインワンで全部をこなすほうが合っているように思えました。

特にSV406Pに付属するズーム式接眼レンズはアイレリーフが充分でアイポイントも寛容でとても覗きやすいです。

メガネをしたままでも全く問題無いです。

そして、セレストロンの実売12000円くらいの7-24mmズームよりもアイレリーフ、アイポイントがともに寛容で、高倍率端、低倍率端とも見かけ視界はほぼ同じだったのには少し驚きました。(セレストロンのズーム接眼も安物と較べるとかなり良いと思っていたのですが・・・・)

低倍率から高倍率まで視野が平坦で、かなり周辺部まで星像が乱れないし、色収差も少ないので、とても気持ちよく観察ができます。

月も20倍で導入して一気に60倍までズームして見ます。


スマホを覗かせて撮影

さすがに月だと(とても明るいので)縁にわずかに青ハロが付きますが、F12クラスの80mmアクロマート式より色収差は少ないくらいです。

月は60倍でも充分な迫力で観察することが可能です。

接眼レンズを5mmに変更し85倍で見ましたが、全く破綻などなく高い解像感が楽しめました。

入手してから日が浅く月が明るいので暗い星雲星団の見え方はそれなりでしたが、80mmの望遠鏡としての見え味は充分に満足できるものでした。

大型カメラ三脚に載せた「ゼロ」との相性は抜群で、サクサク、ピタッピタッと決まります。(意味分からないですね・・・)

60倍でもブレをほとんど気にせず使うことができてとても快適でした。

双眼鏡の倍率では少し物足りない、望遠鏡では高倍率すぎたり大きすぎたりというスキマを埋める機器として活躍してくれると思います。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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SVBONYのフィールドスコープSV406Pを使う その2 への4件のフィードバック

  1. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、おはようございます。

    おー!すごいですね。これは昔所有していたボーグの76mmEDと同じような見え味なのかなと勝手に想像してしまいます。20倍で導入し、60倍までズームアップすれば惑星を見ても木星なら縞4本、土星ならカッシニ、火星なら接近時に模様の確認までできそうですね。
    加えて携帯性抜群で、正立像。

    値段だけがネックですので、小学生のはじめの一歩と言うわけにはいかないかもですが、大人のはじめの一歩としては最適ですね。

  2. スタパオーナー のコメント:

    小澤さま
    ボーグの76mmEDと同じように見えるかは別として、携帯性と正立像は大きなアドバンテージですね。
    木星、土星をぜひとも見たいところですがのシーズンオフなのが残念なところです。
    同スペック(EDレンズ)のスコープや望遠鏡に比べれば破格といえる価格ではありますが、親子でアウトドアを楽しむためのアイテムとしてはかなり強力なアイテムなのではないかと思います。

  3. のりどん のコメント:

    オーナー様
    SV406Pを2020年の11月に購入した者です。当時は、日本ではレビューもほとんどなく、某ショップサイトでは最初のレビューでした。思い切っての購入だったのですが、価格以上の見え味で、観測に観望にと大活躍です。友人にも紹介し、知名度も上がって来たのかな?と喜んでおります。この価格でこの性能は「安かろう、悪かろう」の中国製品のイメージを払拭していると思いますね。SV406Pで使われているズームも、今は単体で販売されており、そちらも購入しました。バーダーのアイペリオンズームも所有しているのですが、価格差3倍とは思えない見え味のズームです。60倍でもなんとか土星のリングはみとめられますし、空が暗ければ10等程度の星が認められます。なによりも、20倍では見えなかった星団が、60倍にズームすると暗くなる視野に浮かんで見えてくるのは感動ものです。数万円の双眼鏡を購入するよりも安く、ほぼ望遠鏡(RFT的)として使えるので、初心者にも買いだと感じます。難点は、導入に慣れが必要ということでしょうか?とにかく、これ1台とカメラ三脚(できればビデオ三脚)だけで、気楽な観望旅行に行けると思います。

  4. スタパオーナー のコメント:

    のりどんさま
    SV406Pのレビューありがとうございます。
    そして拙ブログの記事がお役に立てたようで何よりです。
    おっしゃるとおりこの値段でこの性能、初心者向けの最初の1台としてもお勧めできますね。
    私自身、星雲星団をズームして楽しむのはこの機種で覚えました。
    お気軽観察には押しの1台ですね。

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