ABK001 さそり座α星 かごかつぎ星 分類:和星座

さそり座の中の日本の民話に伝わる星を双眼鏡で見るというテーマでお話をしたいと思います。

日本には西洋の星座のような体系だって全天を区切る星座という概念があまりなかったようです。

だれが見ても目に付く、形がハッキリしている星の並びについては民話があるのですが、全国レベルで統一された話というのはほとんどないのが実情です。

また、あまり大きな星座がないのも特徴かも知れません。

大きくてもオリオン座を鼓(つづみ)星と呼んだり、さそり座を魚釣り星(サソリの尻尾あたりを釣り針に見立てている)と呼ぶくらいです。

北斗七星もおおぐま座のように広げて考えることはなかったようで、無理につなげて形を作り物語を着けるという発想や文化がなかったのでしょう。

ところが小さくまとまった特徴的な星の並びについては名前の付いているものが多くあります。

その典型はスバル(=プレアデス星団)や三つ星(オリオン座)などで、双眼鏡で楽しむのにもってこいのサイズであることが多いです。

上の写真でさそり座のアンタレスと左右の星で「ヘ」の字が作られますが、この部分を篭担ぎ(かごかつぎ)星と呼ぶ地方が多かったようです。

アンタレスは火星(軍神アレス)に対抗するもの(アンチ・アーレス)の意味から着けられた名前ですから、とても赤く見える星です。

アンタレスを中心にしたへの字から天秤棒につるしたカゴの荷物をフウフウいいながら運んでいる姿を想像したのでしょう。

またアンタレスの赤い色から酒酔い星と呼ぶ地方もあったようですし、色の濃さでその年の作物の収穫量を占う地方もあったようです。(色は年ごとに変わるわけはないのですが、南に低いので大気の影響を受けやすく、ある一定の期間の見え方を比較すれば吉兆に結びつけられたのかも知れません。)

双眼鏡で見ると、この篭担ぎ星がすっぽり視野に収まります。

都会ではアンタレスでさえ肉眼で見るのが難しいかも知れませんが、双眼鏡を
使えば篭担ぎ星を見ることができると思います。

双眼鏡では肉眼で見る以上にアンタレスの赤い色を楽しむことができます。

こんな民話を思い出しながら見るのも楽しいものです。

カテゴリー: 分類, , 季節, 星列, 星座 パーマリンク

ABK001 さそり座α星 かごかつぎ星 分類:和星座 への2件のフィードバック

  1. micmac のコメント:

    おはようございます。
    このところ(2022年2月から3月)早起きして明けの明星を双眼鏡で見ています。
    南のほうに目をやるとアンタレスが目に入るので、さそり座の星列も楽しんでいます。
    わたくしの家は光害が甚だしく、双眼鏡でみるアンタレス、さそりσ、さそりτの「かご担ぎ星」の視野にM4がまともに見えたためしがありません。7×35ではわかりません。10×70でなんかあるかなー?という感じです。
    微光天体観察には向いていない場所ですが、明るめの星列なら問題なく楽しめるのでAKBカタログを参考に、楽しそうな星列を探して眺めていこうと思います。

  2. ピンバック: 「双眼鏡で星空観察会」をプロモート その15 | スタパオーナー八ヶ岳日記

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です