ABK089 からす座・かんむり座 低倍率双眼鏡向け星座 分類:星座

本節は双眼鏡で小さな星座を見るお話し。

普通の星座はそれなりの大きさがあるので、双眼鏡でははみ出してしまい全貌を見るのは難しいです。

でも低倍率の双眼鏡ならば小さな星座の全貌を見ることができる場合があります。

双眼鏡を使えば都会でも意外に暗い星まで見ることができますので、肉眼では見えないマイナーな小星座を都会で見ることができます。

この時期お薦めの星座としては「からす座」と「かんむり座」です。

からす座は北斗七星の柄の部分から始まる「春の大曲線」の終点にあるおとめ座のスピカまでの曲線をさらに延ばしたあたりにあります。

これを実視界7°の7倍くらいの双眼鏡で見ると残念ながらからすの不等辺四角形の全貌を視野に入れることができません。(写真の円は7°を示します。)

実視界が9°くらいの低倍率双眼鏡(例えばヒノデA4など)で見るとスッポリ視野内に捉えることができます。

からす座自身はそれほど見所があるわけではないのですが、からす座が南中している頃、このずっとずっと下(南)の地平線下では南十字座も南中しています。

ですから南十字座を見ようと思えば、日本でこのからす座が良く見える時期に南の方へ出かけるのが良いということになります。

そんな風に覚えておくと、何だかからす座がとても大事な星座に思えて来ます。

ぜひ都会でも見つけられるようにして見て下さい。

もう一つ、低倍率の双眼鏡でぜひ見つけて頂きたいのが「かんむり座」です。

かんむり座はうしかい座のすぐ東側にあって南中している頃にはアルクトゥールスの左側にあります。

この星座も実視界7°の7倍くらいの双眼鏡で見ると残念ながら冠の全貌を視野に入れることができません。
(これも倍率5倍のヒノデA4なら視野にスッポリ収めることができます。)

都会でも円弧状に形の整った7つの星列を辿ることができると思います。

うみへび座、おとめ座、おおぐま座など、大きな星座の多い春の星座の中で「山椒は小粒でぴりりと辛い」といった小星座だと思います。

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ABK089 からす座・かんむり座 低倍率双眼鏡向け星座 分類:星座 への2件のフィードバック

  1. ビノ のコメント:

    かんむり座R星は炭素星で,ヘリウムの核融合でできた炭素のダスト雲が恒星を覆い隠すために暗くなるそうですね。私はどうも視覚的な人間ではないらしく,星の美しさよりも,こういう話についつい惹かれてしまいます。ここ数週間,大阪では曇った日が続き,全然星が見えないので,天文学の本を読んで過ごしていました。以下はBinocular Highlightsからの抜粋です。

    かんむり座R星の消失マジック
    かんむり座のとある6等星は,他にこれと言った特徴もないのに,時々奇妙な振舞いを見せる。この星はゆっくりと暗くなり始めるが,最初はほとんどわからない位に遅く,それから突然うんと早くなる。1か月後には双眼鏡ではもう見えないほど暗い。次に消失したのと同じくらい早く元に戻る。6週間後には,何事もなかったかのように,肉眼の可視限界ぎりぎりでまた光っている。これが変光星かんむり座R星(R CrB)の見せる典型的な予定外の挙動だ。
    規則的に明るさが変化する星は沢山あるが,変光星の中でもR CrBは変わり種だ。数か月あるいは数年間も6等星のままでいて,突然14等級かそれ以上にまで暗くなる。この減光は恒星大気中に炭素の煤が凝縮するためだと考えられている。数週から数か月後には,この遮光物質は消え失せ,星は元の明るさを取り戻す。この星の増光と減光はほんの短い時間で完了する。双眼鏡観望の初めに,毎回R CrBを調べてみてはどうだろう。いつまた消失しないとも限りませんよ。
    (ビノ訳)

  2. ビノ のコメント:

    上の4番目のかんむり座の写真のR星は,3番目のうしかい座と一緒に写っているR星と比べて,かなり暗いのではありませんか。減光している時の写真なんでしょうか。

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