ぎょしゃ座は冬の天の川の中にあります。
肉眼では淡くしか見えない(または見えない)ことが多いですが、双眼鏡で見るとたくさんの星があるのが分かって、なかなか見事な眺めが楽しめます。
ぎょしゃ座の五角形の中にはわりと見ごたえのある三つの散開星団M36、M37、M38があります。(厳密にM37は五角形から外れますが・・)
望遠鏡で見比べるとそれぞれ個性が違っていて、ひとくちに散開星団と言ってもいろいろなタイプがあるんだということがとても判りやすい見本のように3つ並んでいます。
ぎょしゃ座のβ星とθ星の中間あたりを7倍前後の双眼鏡で見ると、西より(写真では上)にM36、東よりにM37が見え、さらに西より(ぎょしゃの五角形の中ほど)に双眼鏡を振るとM38が見えてきます。(少し離れているので低倍率の双眼鏡でも3個同時に見ることができない場合が多いです。)
まあ、双眼鏡で見てもあまり違いがわからず、どれもちょっとした光のシミ程度にしか見えないですが、望遠鏡で見るときに場所を覚えておいて損のないトリオだと思います。
星群・星列として面白いのはM38付近。
シュガースプーンでほんの少し砂糖(M38)をすくい取っているように見えませんか?
(普通のスプーンではなくシュガーポットに付いているカーブのきついスプーンの形に見えないでしょうか?)
見ようによってはM36とM37がシュガースプーンからこぼれ落ちたお砂糖のようにも見えてきて、楽しいです。
そんなわけでこの星列を「ぎょしゃ座M38シュガースプーン星列」と名づけることにします。
ところでこのシュガースプーン、アメリカではスプーンのすくい取る部分だけで「スマイリーフェース」と呼ぶことが多いようです。
また柄の部分は「The Flying Minnow(飛ぶハヤ)」と呼んでいます。
ハヤというのはフナ系の魚で、水面からピョンピョンと跳びはねる姿に似ているのでこう呼ぶそうです。
でもハヤというお魚を知りませんですし、それが水面から飛び上がるとどんな姿なのかも想像がつかないので「The Flying Minnow」といわれてもねぇ・・・という気がします。
またこの二つのアステリズムは小さくまとまっているので、本シリーズで対象としている低倍率の双眼鏡では少し小さくてあまり迫力がありません。
15~20倍くらいで見ると面白い対象だと思います。
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